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「俺に付き合え」

「別に構いませんけど……でも、」

「心配すんな。そんなに時間はかからねぇよ」

でしたら、と宗次郎はおとなしく従った。
元々、このまま道場に行くのは気が重かったらしい。少しほっとしたような顔を見るとよほどのことがあったようだ。

「ところでどこに行くんですか?」

歩幅も足の速さも違うので、うっかりしていれば間ができてしまうのを追いつこうと小走りになりながら宗次郎は聞いてきた。

「甘味屋」

別にどこに行くかなど決めていなかったので少しばかり冗談を言ったつもりだったのだが。


「何で俺まで食わされてんの?」

「土方さん好き嫌いはだめですよ!それにこの団子すごくおいしいですし、食べないなんてもったいないですよ。遠慮せずに食べてください」

「遠慮じゃなくて。つーか金払うの俺だしな」

何故かは知らないが団子屋に来てしまった。
何でも来る途中にあったこの団子屋が気になってしまって、どうしても寄りたかったのだという。
俺はあまり甘いものは好きではないのですすんでこういうところに寄ることはなかった。やはり中は甘い匂いが漂っていて長居をする気にはとてもなれなかったので、店の中には入らず、軒先の長椅子に腰かけた。
しばらくして注文を聞きにきた中年の女が宗次郎と俺を見比べ、「兄弟でいらっしゃって?仲がよろしいこと」と言ってきたが、面倒臭かったので訂正はしなかった。宗次郎はなんだかそわそわしていたが早く団子が食いたかったのか、さっさと餡団子を頼んだ。
俺は茶だけでよかったのだが、宗次郎が俺のぶんまで注文してしまい、先の会話につながる。

「俺は甘いもんは好きじゃねぇんだよ」

「え〜」

「なんだ、その声は。そしてその顔は」

宗次郎は信じられないといった風に、人をまるで珍しい生き物を見るかのような目で見てくる。
全く、失礼極まりない。
ちょっと小突いてやると、痛いなぁと言って口を尖らせ、すぐ手がでるのは悪い癖だ。など、勝っちゃんのまねをして言ってみたりして笑っている。
団子食ったくらいで、元気になれるんだから子供は単純で羨ましい。

「やっといつもの調子に戻ったな」

ぼそりとつぶやくと、宗次郎ははっとして俺を見た。




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あきゅろす。
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