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流星の導き
ヒーローは遅れるものです
それは、私達がご飯を食べている時の事でした。


『2年天文科の雨宮雪菜、雨宮悠兎。今すぐに生徒会室に来るように。繰り返す、』


「…だってよ。」
「お前達、何かしたのか?」


この放送を聞いていた哉太と錫也が2人を見て尋ねる。


「んー…してない…よね?」
「何で雪菜は俺を見て自信が無さそうに尋ねるんだよ。後ろめたい事でもあるのか。」
「む…ないもんっ!…行く?」
「俺ご飯食べたいからパスな。」
「そっか、じゃあ私も「ぬいぬーいっ!コイツか!?」むぐっ!?」


いきなり雪菜の視界が黒くなり、息がしにくくなる。


「おう、翼。良くやったな。えらいぞ。」
「ぬはは、お前が転入生だな〜?一緒に生徒会室に行くぞ〜。」
「んーんーんー!!」
「ぬ?何て言ったのだ?よく聞こえないぞ?」
「お、おい「つ ば さ く ん?」」
「ぬ?な…なんか、そらそらが怖いぞ?」


「離せ。」「離そうか。」


「ぬ?もう1人の転入生と怖いお兄さんが怒ってるぞ?ぬがー!ぬいぬいー!」


そう言って雪菜から手を離し、一樹の後ろに隠れる。一樹はまぁまぁ落ち着けと言ってその場を宥める。


「俺は生徒会長の不知火一樹だ。お前達が星月学園に入ってくれた事を嬉しく思う。」
「僕は副会長の青空颯斗です。先程は生徒会の者が失礼をしてしまった様で、すみません。」
「オレな天羽翼だぬーん!生徒会の会計で、趣味は発明なのだー!ぬはは、よろしくな!」
「は…はいっ!私は雨宮雪菜ですっ!んで、こっちが双子の兄の悠兎です。」
「始めまして。」


一通り自己紹介を終えると、一樹がよしっと言っていきなり雪菜を担ぎ、走り出す。翼も一緒に走り出し、颯斗はやれやれと言った表情でぺこりと悠兎達に頭を下げてから、彼等の後を歩き出した。早すぎる展開に悠兎達は着いていけず、ぽかんと見ていた。


「え…これって、追いかけた方が良いの?」


***
生徒会室に連れて来られた雪菜はソファーに座らせられ、紅茶を飲んでいた。


「というか、いきなりなんだったんですか!びっくりしましたよ、もうっ!」
「おぉ、すまんすまん。いやー、2人目の女子生徒と話してみたいと思ってな。」
「ぬー…雪菜…怒ってるのか?」
「いえ、怒ってはないですけど…。」
「ですが、こんな強引な事はしてはいけないと、僕あれ程言いましたよね?翼君も雨宮さんに会って早々、彼女に抱き付いて窒息させようとしましたし。」
「ぬー…ごめんちゃい。」


暫く颯斗の説教が続いた後、説教に飽きた翼が雪菜に自分のラボを見せたいと言い出し、移動しようと一斉に立ち上がる。


(…この気配は…)


パリ…ンッ


窓が割れる。その音と共に窓から入ってきた数人の男達。さっきまでワイワイやっていた一樹と颯斗と翼の表情が真剣なそれへと変わる。


「巫女を出せ。」


かちゃり。入ってきた男達のうち、1人が銃を此方に向けて口を開く。


「その女か?この学園のたった1人の女子生徒が巫女だと聞いている。撃たれたくなければさっさとそいつをこっちに寄越せ。」
「残念だが、コイツは違う。コイツは一般人だ。」
「紛らわしい…殺せ。」
「…っ!?こ…この人達、誰なんですか!?」
(もうっ…!タイミング最悪だよっ!ボロが出ちゃうよ!)
「おい颯斗。コイツを連れていけ。宮地辺りが良いだろう。…行けっ!」
「分かりました。雨宮さん、行きましょう。」


そう言って颯斗は雪菜の手を握って走り出す。


後ろからは鳴り響く銃声と翼の発明品が作動する音。


***
「宮地君はいますかっ!?」
「宮地ならさっき白鳥と血相変えて教室を飛び出して行ったよ。」
「そうですか。ありがとうございます。」


再び走り出し、月子達がいるであろう屋上へと向かった。屋上へと続くドアを開けるとそこには沢山の敵に囲まれた悠兎達と合流したのであろう龍ノ介と弥彦、梓、誉の姿。雪菜は考える。自分も武器を構えるか否かを。悠兎と目が合う。その一瞬で理解する。本当に危なくなるまでは武器を手にしてはならない、と。流石、門外顧問。冷静かつ的確な指示であると感心する。では、一般人であるとアピールする為の行動を取らなければ、と考える。


「悠兄!!青空君っ、この人達は何なの!?」
「落ち着いて下さい。大丈夫です。僕達が守りますから。」
「で…でも、」


騙す事に少し良心が痛むが、これもボスの為。考えていると、目の前で戦闘が始まる。敵の人数が多すぎて少し押され気味である事は直ぐに分かる。このままでは月子が本当に危ないな、と考える。どうしよう、手を出すか。今回の任務には月子の護衛も含まれているから別に怒られはしないが、門外顧問の兄が駄目と言ったら、基本従わなければいけないし…でも、実質雪の守護者という肩書きを持っている私の方が位は上だし…


「雪菜っっ!!」


誰かの怒鳴り声ではっと前を見ると、迫って来る敵。


「ふおっ!?」


敵の剣を避ける。我ながら結構阿呆な声を出したなと思う。


「えっ!?雪菜ちゃん凄いっ!」


あまり現状を理解していなさそうな月子の声が聞こえる。でもまたすぐに次の攻撃が仕掛けられる。


次避けたら絶 対 ば れ る…!!


キンッ!!


いきなり目の前が少し暗くなる。目を開けると、そこには、


「ひ…雲雀さんっ!?」
「…静かにしてなよ。君がボンゴレだってことがバレるよ。」


(全く、世話の焼ける小動物だよね。)
(…う、返す言葉もございません…)







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