あめ色の日々
04
がやがや
昼の基地食堂は新隊員の泣き言やらなんやらで非常に活気であふれにあふれかえっていた。
「いやー森川君さっきは凄かったねー!」
「何しろ軽く命懸けてましたからね。それに俺の斑は他より大分レベル低いじゃないですか」
「あはは、まあそれもそうなんだけどね〜」
その中で、俺と(何故かついてきた)小牧教官と堂上教官は各々昼食を手に食堂内を見渡し、座れる所を探していた。
「おい、だからあんなに必死だったのか森川は…」
俺が今までになく本気だった理由を知った堂上教官は、トップクラスのくせに聞いて呆れるな、と苦笑で返してきた。
や、だって魚だけはどうにも食べれない。生臭いし憎たらしい顔してるし!!
「まあいいじゃないですか。結果的にはちゃんと1位取れたんですし。」
そう、あの後俺は宣言通り1位を勝ち取ったのだ。
しかも前回の自己新記録を23秒も塗り替えた為、その点だけは(嫌々ながらも)魚に感謝だ。
「あ、」
「どうかしたんですか?小牧教官」
「いや、席…見つけたと言えば見つけたんだけど…」
微妙に言い渋ってる小牧教官にしびれを切らした堂上教官は、ならさっさと座れば良いじゃないかとばかりにその視線の先に目を向けた、その時。
「ちょっとあのクソ教官、あたしのこと目の敵にしてなぁいー!?」
食堂内は人でかなり混雑しているにも関わらず、良く通る声でなりふり構わず叫んでいる女性―――笠原郁を発見。
彼女の事は周りと距離を置いている俺でさえ割と知っている。
まあ小牧教官に聞いたというのもあるが、何せ彼女の身体能力には目を見張るものがあるからだ。先程のハイポートでも確か10位前後だったはず…
軽く呆然としている堂上教官とそれを見て笑いを堪えている小牧教官を余所に、笠原さん含む数人の女性隊員はどんどん話をヒートアップさせていく。もちろん話題は堂上教官について。
…哀れ、堂上教官。
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