あめ色の日々
01
「(あっつー…)」
真夏の炎天下の中、俺こと森川聡(と同じ斑の同期達)は実に耐え難い日光に晒されつつもじっとグラウンドを見つめる。
今は一つ上期のいわゆる先輩?が灼熱の訓練場の上を息も絶え絶えに走っていた。
それだけならまだマシだが、その両腕には六十四式子銃推定重量四.四sというそれなりの重さを誇る銃器がある。
次にああなるのは自分達だと、俺の同期達は口々に不満や愚痴を洩らしていた。
「良い大人のくせして…」
軽いため息と共に呟けば一斉に自分に視線が集まってくるのが分かった。
だるそうにその視線を見やれば、そこには今年大学を卒業したばかりだとか自己紹介で言っていたジャイアンっぽいのと数人の大人が進み出てきた。
名前は思い出せない。高ー…高橋?高瀬?
高なんとか。だったような。
「スカしてんじゃねーよ中卒のくせによお」
にやにやと嗤いながら俺をなじろうとする高…なんとか。
まあ俺が中卒というのは概ね事実だ。認めよう。
実際俺はまだ16歳だし、動くことしか能がない上世間知らずときた。
「その中卒のガキに先週のハイポート負けたのは誰だっけ?」
「何だと!?」
あーあと射撃とペーパーと一昨日やった剣道の試合とか。
思い出したように付け足してやればそいつはぐっと詰まり、覚えてろよと言い捨てて木陰に逃げ去った。流石にハイポート前に無駄な体力は使いたくないらしく、その点においては俺も同意見だ。
まあこいつみたいに、学歴があっても訓練で実績を残せなければまるで意味がない。
だから俺は高校に行かず春の二次募集で図書館隊防衛部に志願した、ただそれだけのこと。
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