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戸田北合宿物語
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ちょっと待て、待ってくれ。ここはシニアの合宿所で、ふすまの向こう側には十数名の部員たちだっているのだ。

さっきまで聞こえていたちょっとした話し声も聞こえなくなっていたからもうすっかり夢の中かもしれないけれど…それでもふすま一枚隔てた位の場所では何もかも筒抜けなのはわかりきったことだった。

案の定、元希さんとオレのやりとりに気付いた先輩がいたのか

『…うるせーぞ、タカヤ…』

と注意をされた。

すると元希さんはこともあろうに

「悪ぃ悪ィ。コイツが一緒に寝てくれってうるさくてさ。すぐ静かにさせっから勘弁なー」

なんてことをしれっとほざいたのだ。

「ちょ、ちょっとアンタ何言ってんですか元希さん!ふざけんのも大概にしてください…!」

あんまりな言われように恥ずかしさが募り、ついつい大きな声を出して抗議をしたものだから。

『タカヤうるせー…』

とまたまた速攻注意が入る。

「す、すみません…」

とすぐさまふすまの向こう側に謝罪をしてから、布団に手をかけたままの元希さんに小声で呟いた。

「元希さんのせいで怒られたじゃないですか…どうしてくれる…」

どうしてくれるんですか…と言いたかった言葉が途中で遮られた。

「…んっ……!」

「…こうやって静かにさせりゃぁ良いんだろ?」


──なんてショーゲキ的な事が初日の夜にあったのだ。



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