戸田北合宿物語
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初めて経験する合宿の雰囲気に皆も興奮して、なかなか寝付けなかった夜のこと。
オレはシニアの合宿そのものが初めてだったし、大勢で寝泊まりするってことも初めての経験だったから実際のところほんとは結構緊張していた。
弟や家族とは違う、まったく他人との共同生活(ってたかが5日間だけど)でうまくやってけるのかな?って。
自分の性格くらいわかってるつもりだったけど、元希さんとああして最初からぶつかった事を思えば、ほんとは人に合わせるのが下手なんじゃないのか?…なんて消極的なことまで考えてしまったくらいだったから。
しかし考えてみても、後にも先にもシニアでぶつかった相手は元希さんだけで、他の先輩や後輩、同じ学年のヤツとは上手くやっていけてるので、やっぱりオレの思い過ごしかな、と思ってみたり。
とにかくまぁそんな感じでオレはこの《合宿》に対してちょっとした不安みたいなものを抱えていた矢先の出来事だった。
「…なぁタカヤ…起きてっか?」
「……寝てます」
「寝てるヤツが返事なんかすっかよ…」
ふてくされたようにボソッとつぶやいたかと思うと、掛け布団をいきなりめくられた。
「…!?わ、ちょ、ちょっと、何すんですか!」
「何ってお前、決まってんだろ?」
「な、な、何が決まってんです、か…?」
おそるおそるそう尋ねてみた。
「…それ、お前が聞くの?」
しかし元希さんは狼狽するオレの様子なんて完全に無視で、やけに熱っぽい目をしながらオレを見ていた…。
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