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新サイバトロン基地にて
急きょ用意した個室のベッド。
衰弱はなかったから、点滴も何もつけずにそこに寝かせる。
余裕がないために設置できない医療機械の代わりにライノックスがそばについた。

喜ばしくも有り得ない帰還に、サイバトロンは全員そこに集まった。
コンボイだけは身体の大きさのために覗くしかできないが、他の者はめいめいの距離でベッドの上のアリサを見つめていた。
気にかけていた者はすぐそばに、疑う者は少し離れて。
そわそわとしながらも、誰もその場を離れなかった。

そして、そう長い時間もたたず。

「あっ…!!」

ライノックスが思わず口に出し、つられて数人が身を乗り出した。
はじめ薄く開いたまぶたが少しずつ上がり、半分ほど開いたところでアリサはあたりを見回した。
視界に映る仲間達それぞれの顔に目をとめていく。
全員目に入れた所で、アリサは眉根を寄せて呟いた。

「…嫌な夢」

名前でも呼んでくれて感動の再会になると踏んでいたサイバトロンはしかし、その一言で固まった。
ラットルが慌てて声をかける。

「何寝ボケてんだ!!夢なんかじゃねぇよ!!」

「そうだよ、俺達の事わかってないの!?アリサ!!」

何で嫌なんて言うのさ!!
チータスも必死に呼びかける。

嫌なのは嫌だろう。
二度と会えない仲間に会えているなんて、自分の脳にされてる嫌がらせでしかないじゃないか。
夢うつつな意識でそう考えていたアリサ。
こんな光景のどこが現実だというのか。

あぁうるさいのがまだ何か言ってくる。
ここは暑いんだからそんなにうるさくしないでほしい…

暑い?

夢でどうしてこんなに暑いんだ?

大体洞窟の中で暑いなんて今まで感じたこと――あれ?

こんな布の感触知らない。
こんなむせかえるような空気知らない。

起き上がってみる。
汗で寝具らしきものがまとわりつく。
なんだ?こんなリアルなんて…何で?

「…ここ、どこ?」

混乱しながらまわりの仲間達に聞いた――返ってくる答えは頭のどこかでわかっていたが。

もしかしたら、
夢じゃないの?

「――現実のサイバトロン基地だよ。新しく作った、ね」



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