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『あ、永倉さん』
振り返るとそこには、おう、と笑顔を向けている永倉さんがすぐ後ろに立っていた。わ、相変わらず眩しい笑顔。ちょっと失礼するぜ、と永倉さんは私の髪に手を伸ばして触った。
『?なんですか?』
「お、やっぱりな。千鶴ちゃんの髪は細くて指通りがいいぜ。」
「………」
永倉さんは楽しそうに私の髪に指を絡ませたり、頭を撫でたりする。まるで兄みたいだ、といつか思った事があった。歳の離れた兄がいれば、こんな感じなのかと。今もそう思う。
…何故か原田さんが思案顔になった気がするけど…何かあったのかな。
ほのぼのとした空気の中を少し強い風が吹いた。びゅう、と音をたてて私達の間を吹き抜ける風は集めた落ち葉を散らしてしまった。
『…あ、落ち葉が、』
と、これ以上散る前に急いで集めようと体を傾けた、その瞬間。低い低い段差に気がつかなくて、ツンッと躓いてってしまった。
あれ、さっきも似たような事…!!
「うお!?千鶴ちゃん!」
『え…』
「っ………」
20101113
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