[通常モード] [URL送信]
21



* * *



沖田さんの部屋につき、沖田さんを降ろしてから布団を引く。それから、既に眠りについている沖田さんをもう一度抱き上げ、布団に乗せて、風邪を引かないようにと掛け布団をかけた。

よし、と立ち上がろうとした時、小さな声で沖田さんがちづる、と呼んだのが聞こえてきて、振り返る。




『はい、なんですか?』

「…いっしょにねてくれない…?」

『……え、え!?……あの、でも、私まだ仕事が…』

「だいじょうぶ…。おきたらやればいいでしょ…」

『いやそういうわけにも…』

「………ぼくをおいていっちゃうの…?」

『………っ』




眠たそうに語尾を伸ばしながら目をこすり、見上げてくる沖田さん。もう本当に可愛い。ああ、駄目だ。私この潤んだ瞳に弱すぎる。私は、じゃあ沖田さんが眠るまでですよ、と言ってから仕方なく沖田さんの枕元に寄った。

すると彼は眉をしかめて、「そこじゃなくて、ちゃんと布団の中に入ってよ」と言った。……布団の中に、って。今の外も中身も子供の沖田さんとなら私は恥じらい無く寝られる、と思うのだけど。昨日の事があって、あまり気乗りはしない。昨日土方さんが元に戻った時間がもうそろそろだから…少し、(ある意味で)心配だ。


……どうしよう…。


そう悩んでいると彼は痺れを切らしたのか、起き上がって私の手首を掴んで思い切り引っ張った。いきなりの事だったから、驚いている間に私は布団に引きずり込まれる。




『ちょ、おきっ…』

「…ねむいんだから…みみもとでおおごえださないで…」

『…す、すみません…』




うるさい、と一喝されて私は黙り込んだ。…もう仕方ない。沖田さんが寝るまでいよう…と出ることを諦めて力を抜いた。

掴まれたままの腕に触る小さな手。背中に感じる小さな温もり。全てが…、小さくて。なんだか安心する温かさを感じた途端に睡魔が襲ってきた。おやすみ、と沖田さんの声が聞こえた時には、私はもう深い眠りについてしまった。






(…どうか、目を覚ます頃には)

(沖田さんが元に戻っていますように──…)





20100916

[←*][#→]

あきゅろす。
無料HPエムペ!