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私の着物の裾を掴んで、上目で見つめてくる沖田さんに母性を擽られる。疑ってなんかいませんよ、と言うと彼は良かった、と嬉しそうに微笑んだ。ああもう、本当になんなんですか。土方さんも沖田さんも、幼い頃の姿は可愛すぎます!そう言いたくなる気持ちを抑えてから、沖田さんの頭を撫でながら私は平助くんの方を向いて言った。




『へ、平助くん、』

「なんだよ」

『あんまり、無闇に疑っちゃ駄目だと思うな…』

「……は?」

『沖田さんも好きで小さくなったわけじゃないだろうし、そんな事言っちゃいけないと思うの。…私もあんまり人のこと言えないんだけどね』

「……わ、悪い」




ちょっとでしゃばった事を言ってしまったけれど、平助くんは本当にすまなそうな顔をして謝った。ううん、私こそ偉そうな事言ってごめんなさい。そう言った直後、私の近くにいた沖田さんがグイッと裾を引っ張った。




『どうかしましたか?』

「……ちづる、」

『はい』

「………ねむいんだけど…」




ゴシゴシと今にも落ちていきそうな目蓋を擦って、沖田さんはそう言った。はっと周りを見渡すと、既に陽は傾き始めていて、確かに子供が眠くなる時間になっていた。平助くんと結構話していたらしい。平助くんも時間の経過に気付き、「やっべぇ土方さんに巡察の報告してねーじゃん!」と焦っていた。

ふと沖田さんを見ると、座り込んでカクン、カクンと頭を揺らしていた。このままでは風邪を引いてしまうと思った私は沖田さんを抱き上げた。これがいつもの大きさの沖田さんだったら、私潰れちゃうよね…。




『じゃあ平助くん、私沖田さんを部屋に連れて行くから…また後でね』

「……おう…。気をつけろよ?」

『……?』




意味深な言葉を掛けられながら私は沖田さんの部屋に向かったのだった。







(……あれ…?今総司のヤツ笑わなかったか…?)


20100911

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