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明くる日、隊士達は広間に集められた。何事かと集まった隊士は、ざわざわとざわめいている。そんな中を、局長の朗々とした声が、広い広間に響き渡った。




「皆も、徳川第四代将軍・徳川家茂公が上洛されるという話は聞き及んでいると思う。その上洛に伴い公が二条城に入られるまで、新選組総力を持って警護の任に当たるべし…との要請を受けた!」




これは、昨日土方副長が話してくれた内容だ。別に疑っていた訳ではないけれど、こうして集められて、局長から聞くと尚嬉しい。隊士達も、事態を把握し、わあっと歓声を上げた。

少し経つと、局長は隊を編成し始めた。沖田組長は風邪で休み。平助も、体調が悪いらしくて出ないのだと言う。近藤局長は残念そうに「折角の晴れ舞台、全員揃って将軍様を迎えたかったのだがなぁ」と言っていた。

話は、私の隣に座っていた千鶴に振られた。




「…で、お前はどうすんだ?」

「……はい?」

「お前は警護に参加するのかって聞いてんだ」

「わ、私もいいんですか!?」

「無論構わないとも!」




近藤局長にそう言われ、千鶴は少し迷っていた。そこに不参加組の二人が、行ってみるのもいいんじゃない?と後押ししたため、千鶴はもの凄く行きたそうな顔をした。しかし、行く、とは口にしない。見かねた私はどうしよう、と呟く千鶴に優しく話しかけた。




『…迷ってるの?沖田組長と平助が行かないから?』

「う、うん…」

『そっか…でもさ千鶴、最近精神的に詰まってたんじゃない?お父さんの事とかで』

「うん…」

『じゃあさ、行こう?副長も局長も、皆さんがいいって言ってくれてるんだから、お言葉に甘えさせてもらったらいいよ』

「…そう、だね…!行きます!行かせて下さい!」




千鶴は吹っ切れたように宣言したのだった。








(ま、お前らにやってもらうことは、伝令とか使いっ走りだがな。覚悟しとけよ)
("お前ら"?え、まさか私もですか…?)
(他に誰がいんだ)
(………。)


20100805

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あきゅろす。
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