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にこりと微笑む目の前の女の子。私も微笑み返し、「うん!」と返事をした。ふと、小さい時の事を思い出した。似たような事があったような気がするんだけど…
『……、』
「? どうしました?」
『……もしかして、』
「?……わっ!?」
私は彼女の高く結っている髪紐を許可も取らずにシュルリと解いた。さらり、長めの黒髪が落ちる。
…ああ、やっぱりそうだ。
『…千鶴、だ』
「えっ…私の名前…?」
『私の事、覚えてないかな?小さい頃、よく遊んだんだけど…』
「小さい、頃…。……あ!」
もしかして、沙樹?と首を傾げる千鶴。そうだよ、と微笑むと、彼女もまた嬉しそうに微笑んだ。
今、思い出した。彼女は…千鶴は、所謂「幼なじみ」という奴だと思う。小さい頃はいつも、何をするのも一緒だった。
…あれ…?
(…いつも一緒だったのなら、何故私と千鶴は離れ離れになったんだっけ…?)
…思い出せない。いや、違う。思い出さない方が、いいのかも知れない。
何にせよ、千鶴にまた会えたのはとても嬉しい事だ。私は深く考えないようにして、彼女との再会を喜んだのだった。
─ 十年ぶりの再会 ─
(何か引っかかるけれど…今は気にしないでおこう。)
20100525
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