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09




「あ、あのっ…私は…」

『…あー…、気付かれたく無かった、とかですか?』

「…えっと…」

『………。』




手のひらを強く握り、困ったように眉を潜めている目の前の子は、女の子なのに格好は男の子で。身長は私と同じくらい…かな。歳も近そうだ。とりあえず、秘密にしておきたい事らしいので、近くの使われて無さそうな部屋に入り、大丈夫だから、誰にも言わないから、と彼女を落ち着かせた。

この子は隊士ではないと思う。隊士が、あんな簡単に転ぶわけ無いだろうし…。何より、刀は小太刀のみ。隊士なら長刀も所持している筈だ。そんな子が新選組で何をしているのだろうか。小姓…とか?

…そんな事よりも。




『安心、した…』

「?」




何の事ですか?と首を傾げる目の前の子。この反応と、さっきから私と話している分には、多分気づいてないのだと思う。




『………私も、女だから』

「え!」

『あ、やっぱり気付いて無かったんですね』

「じ、女性の隊士がいらっしゃったなんて…」

『今日入ったばかりですけどね。…ね、私、』




実は、心細かったんだ。


そう言うと、彼女は一瞬驚いたような表情をしてから、すぐに優しく微笑んだ。それから、私の手を取って、言った。




「私も、そうです。だから…」




お友達に、なりませんか?




20100524

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