発展途上キャンバス4




あんなだけど、やっぱり子龍様は素敵で、ちょっとどころかとても真面目で、すき。



発展途上キャンバス*





ようやく準備が整って城門をくぐり、しばらく歩くと賑やかな商店街に着いた。やっぱりこういう風景ってどの時代も変わらないなぁと思う。それにこういうのってゲームやってても映らないからちょっと得した気がしたり、するかな!趙雲もいつもの武装ではなくて軽装で、でもやっぱり質の良い素材だから品格と言うのかな、それが私でもよくわかる。こういうの、センスがいいって言うんだろうなあ…。…わぁあ…、趙雲、街中の女性の視線を集めてる気がしてならないです。なんか、本当は違うけど今は彼の彼女だからかなズキッてする。
それとも、私のつくったヒロインの感情が移ってるのかな…。移ると言うよりも元々私の分身みたいな子だったからなあ。なんて、考え事をしていると、目の前にいつの間にいたのか口元をへの字にした趙雲が私の顔を覗き込んでいた。


「…篠乃?気分悪いのか?」
「なんでも、ないよ。…ただ、人いっぱいいて…皆子龍のこと見てるからなんか…うん」
「私の事を?違うだろう、この視線、皆野郎のものだ。篠乃が嫌な気分を味わうのは可笑しい。私の方こそ篠乃が男の目に映るなんて腹立たしくてならないよ」
「え、こ、これ、子龍に視線が!」
「違うな、篠乃に、だ」
「子龍!」
「篠乃!」


周りの視線を気にせずどうでもよい言い合いを繰り広げていたら、いつの間にか辺りがざわめいていた。一気に熱くなっていた気持ちが冷やされて、お互い苦笑混じりで笑っていた。あぁもう幸せを感じちゃってる、こんな小さなことで喜びを感じるなんて現代じゃきっと無理だと思う。想像でしか趙雲と会うことはできなくて不可能だと思っていたのに、今こうして目の前にいる。あらためて、好き。もう、キャラクターなんかじゃなくて一人の男性として…。


「篠乃、これ、見て」
「…ん!綺麗、だね、…」


すぐ近くのお店を覗いていた趙雲がまたもやボーっとしていた私を呼び寄せて、手にしていたものを見せてくれた。小さな水晶(かな?)がいくつも連なった腕飾り。…ブレスレット。試しに自分がつけてみると、しっくりと馴染むような派手すぎないデザインで本当に綺麗だった。愛おしくそれを眺めていると趙雲の方から『これ下さい』との声が。く、ださい…?…こ、これ買うの!?まさかと思い全力で首を横に振った。私の時代なら手頃な価格で手に入るものもあるけど、この時代は絶対高い。高価な物、買ってもらうなんて悪い。いやいやいやいや!似合わないから、ほんとに!ブレスレットは綺麗だけど、馴染むけど、似合わない!


「子龍…こんな、高いものもらえないよ!私にはとても…綺麗すぎて…」
「そんなことは無いさ。もっと自信をもて。それに…これは私が篠乃にあげたい物だ。私の我が侭だから遠慮せずにもらってくれ」
「う、うん」
「それに水晶にはな、魔除け厄除け虫除けの効果があるんだ。おまえに悪い虫がつかなくなるのだから良いだろう?」
「………むし、ですか」


厄除けは聞いたことがあるけど、この時代ではそんな効果があったんだ…。不思議だなぁ…なんて思いながらさっそく受け取ったブレスレットを左腕に嵌めるとなんだか嬉しくて自然に頬が緩んでいた。と、趙雲にお礼を言うと彼は何故だろう、…何もしてない、何も言ってないのにフフフフフと、笑っていた。





4:20080518







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