発展途上キャンバス3




実は子龍様ってこんなに…



発展途上キャンバス*





目が覚めた私は趙雲に「一々気絶するなんて、全く…可愛いな」なんて口説かれてしまい、気絶する寸前まで追いやられた。呆れる原因をつくったのは、趙雲、貴方なんですよ!?……やれやれ、と苦笑いしている趙雲は片手に繊細な刺繍の施された布を抱えていた。それに興味を示した私が何か、と問うと今日のお出かけ用の着物、らしい。花柄の、淡い桃色の。………を、趙雲、が?…え、!?


「ちょっ……ちょう…子龍って…そんな趣味、あるの!?え、…ぇ…」
「…何、勘違いしてるんだ?」
「だってそんな高価そうな着物…子龍が持ってるくらいだから…その、貴方が着るんじゃないかっって……ふ、ふふっ…っ」
「………ほぅ、…私に女装の趣味がある、と言いたいのか…ふぅん、篠乃っていつからそんなこと言うように、…なったの、かな?」


 や、 ば い。
この目は、だめだ。とにかく、私の言った何かが(十中八九「女装」だろうけど)趙雲の黒モードスイッチをオンにしてしまったらしい。さっき、私が趙雲、と彼を呼んだときもだった、瞳がやや虚ろになって、熱を帯びて、雰囲気すら変わってくる。これが名物黒趙雲なんだ…。ってのほほんとしてる場合じゃないんだけど、その状況が逆に冷静にさせているらしい、私を。


「篠乃、今日は…一段と私に構ってもらいたいんだ…ね…私は別にいいけれど」
「ちが…う…!た、ただ、こんな綺麗な着物…わ、たしに似合わない、し…」
「………、そんなこと、ない!…これは、私が篠乃のために選んだものだ!似合わないはずが…無いだろう?」


 も ど っ た !
この微妙なところがわからない…。ただ、趙雲が必死に喋ろうとすると元の趙雲に戻るらしい。黒い趙雲もなんか…大人っぽくて好きなんだけど、自分の貞操が危なくなるんだよなあ…。だからと言って、白趙雲の子犬みたいな表情も…堪える…。


「篠乃が心配することは何もない。さあ、今日はいい天気だ、早く召し変えて出掛けるとしよう」
「…えっ……あ、あの…着物、きかた、わかんな…ぃ…」
「えっ…!?そ、それは……わからずとも…女官……いや、折角だ、私が手伝ってやろう」
「い、いやああああああああ!!い、いいのいいの子龍の手を煩わせるわけにいかないでしょ、う?だ、いじょうぶ、だから!」


いやあの、無理です。普通に無理です。夢主だったらそういうの平気でやれるかもしれないけど私、違うから…ねー…。なぜか趙雲の指先に目がいってしまって、顔が急に熱くなる。手伝われたらあの指が…私の馬鹿!でも…趙雲が変なスイッチ入ってしまったら本当にやりかねない。と言うことで、趙雲には強引に退出してもらって前に何かの資料で読んだ着付けのしかたを思い出そうと試みた。火事場の馬鹿力って言うのとは違うけど土壇場で思い出せた私は凄いと思う。必死に、趙雲が痺れを切らす前になんとか渡された着物を着ることに成功した。





3:20080510







あきゅろす。
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