まどろみのひととき


闇に沈んでいた意識が、フと眩く輝く光によってふわりと浮上した。眠気が覚めず、なかなか上がってくれない重い目蓋をこする。開けっ放しにしてあったカーテンを少しだけ呪いたい。隣に眠る最愛の彼、クラウドを見てからゆっくり起き上がろうとすると、情事特有の気だるさに襲われた。嫌じゃあない。普段は仕事もあるから私よりも早く起きているのに、今日はまだ仕事の依頼が来ていないのもあってかぐっすりと眠っている。


「クラウド、朝だよ」
「…んー…」
「若者がだらだらとしてちゃ駄目なんだからね」
「…***、が言う事じゃない…だろ」
「はいはい、わかったから起きてよー」


ゆさゆさと揺すってみてもクラウドは頭まですっぽり布団を被ってしまい、完全に寝る体勢に入ってしまった。仕方ないか、と先に起きて朝食を作っておくことに決めた私は近くにあったカーディガンを羽織ってベッドから降りようとしたが、急に腕を固定されて動けなくなった。布団の中からクラウドの綺麗な腕がこちらへと伸びている。普段あまりこういう事しないから、許せるけどクラウドらしくなくて思わず苦笑していた。
バッ、とクラウドを覆う布団を取り払えば予想通り、眩しそうに眉を顰めてこちらを見る瞳は薄っすらとしか覗けない。そういう表情ですら絵になるクラウドは本当に、綺麗で、男としても格好良いのに女顔負けの美しさもあって、羨ましい事この上ない。私の人差し指でクラウドの頬につんつんと突くともっと不機嫌そうな表情を浮かべた。


「やめろって」
「でも、本当頬も柔らかいし、いいなあ」
「俺はあんまり嬉しくないよ」
「クラウドって絶対男からもモテるよねえ…なんていうか、美男女?」
「…だから嬉しくない」


怖くないけど、こちらを睨んでくるクラウドの視線から逃れるように顔を背けてみると、ふとした瞬間にマシュマロのようなその頬の感触が消えていた。あれ?と思って彼の方を見ると姿が無い。どこかに行った…ワケないし、じゃあどこだろう、と思って辺りを見回そうとした刹那、背後に温かさを感じた。気配が全くなくって気が付かなかった。


「寝ぼけてた人とは思えない動き…」
「まあな」
「褒めてないし!」
「…やっぱり***の方が柔らかいよ」
「え…、何言ってんの」
「俺の頬なんかより、絶対***の方が抱き心地いいと思うし、ほら、頬も白いし綺麗だし」
「…クラウドより肌荒れてたらそれはそれで女としてどうなんだろうね」


でも素直に嬉しい。クラウドも綺麗だから、私だって負けないように努力しなきゃって思えるし、いい刺激になってたりもする。口に出しては言えないけど。後ろから回されたクラウドの腕を見れば、綺麗と言ってもそれは男の人の腕で、しっかりと筋肉がついて男らしい美しさがあった。


「***、今日何も無いからもう一回寝よう」
「わ、私も?」
「勿論。このまま寝ても…いいか?」
「このままって、あの、ちょっと!」
「オヤスミ」


動けない。後ろから抱き込まれたままに横に一緒に倒れてしまった。ちょっと微妙な体勢だし、布団もまともに掛かっていないから少し肌寒いけど、クラウドが温かいからすぐに眠気が再び襲ってきた。今日は一日寝ててもいいかな、そう思った。



(…が、首筋にかかる彼の呼吸が気になって寝れないと後々気付く事になる)


CC時代のクラウドの頬が絶対最上級の触り心地だと思うんですよね。
20090320




 


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!