勘違い最強説



この世界に呼ばれ、今私たちはそれぞれがクリスタルを集めているところ。一緒に同行しているクラウド達には皆夢があって。だけど夢を持たないクラウドはそれを探すために、答えを持っている人のところへ行くということになった。クラウドが一人で行きたがっていたからフリオニールもティーダも行って来い、なんて言っていたけれど…そう言ってクラウドが向かう先は私には大体予想がついている。伊達に何年もクラウドのことを想ってきたわけじゃない。
クラウドと彼―…セフィロスには切っても切れない縁があるのを知っているから。だから私は、皆の了解を得てクラウドの後を追うことにした。なんか心配らしくてティーダも一緒に来てくれることになった。


「クラウド、大丈夫かな」
「うーん…カオス側のやつらも強そうだけど、簡単に負けるほどクラウドだって弱くないっスよ。それに、いざとなったら俺たちも助けに行けばいいだろ?」
「そう…だね!」


そう言ってクラウドを追った先が、夢の終わりという場所。ティーダはその景色に複雑そうな笑みを浮かべていた。きっとジェクトさんを捜しているんだろうなあ。そこの観客席のような場所が丁度隠れるのにいい為、こっそりと様子を見ることにした。が、それを始めて間もなくクラウドとは別の足音が響いた。…セフィロスだ。ソルジャー時代の時から彼を知っている私はより息を殺せとティーダに声無き声で伝えた。この陰の向こう側でクラウドとセフィロスは何かを話しているみたい。


『なぜ私と戦わない』
『あんたと戦うことに何の意味がある…(俺はあんたと戦いたいわけじゃなく、ただ…)これ以上、意味のない戦いはしたくない(会いたかっただけなんだから)』
『では意味さえあれば(これが愛情表現なのならば)おまえは誰とでも戦うのだな?』


……な、なんで!?あんな事二人とも言ってないのに、頭の中に変な言葉が浮かんでく、る…!?でもこれじゃあ、まるでクラウドがセフィロスのことを…。私おかしい!自分の頭をぶんぶんと振って、ティーダが心配そうにしているのを横目で感じながらセフィロスが手に出した…、彼の、のばらを見て私は呆然としてしまった。おかしい。頭の中で、まるでクラウドがセフィロスと戦えばのばらをプレゼントしようと言っているように聞こえて。
んなわけあるか!と、突っ込む一方でクラウドを守らなくてはと思っている自分がいる様で、それに抗う事ができず、武器を取り出してセフィロスの元へ走っていってしまった。私、何をしているんだろうか。


「ちょっと待ちなさい!」
「なッ、…***!?なぜここに!」
「ほう…おまえに会うのも久しいな。***」
「え、あ、うん久し振り……じゃ、なくって!なんかよくわからないけど、クラウドとオイシイ展開になるなんてこの私が許さないわ!」
「……***、何言ってるんだ」
「好きに言わせておけクラウド。私にそんな趣味があるとは思わんが、おまえと戦えるならそれもいいだろう」


私を追うがいい、そう言って消えようとしたセフィロス。凄く告白まがいの事をした所為か吹っ切れたみたいで、私はさせないわ!叫んだと同時にまさか使えるとは思っていなかったアルテマの詠唱を始めた。え、自分何をやってるんだ、と他人事のように思いながらも気付いたときには、目の前に片膝をつけたセフィロスがいた。私、やっつけちゃった…?


「…暫く見ぬうちに強くなったものだ。次に会ったときは本気で戦おうではないか……」
「せ、セフィロス…!?」
「消えちゃった…」


セフィロスがふわりと消え、気配がなくなるのを確認するとへなへなと膝の力が抜けてその場に座り込んでしまった。クラウドが大丈夫か?と支えてくれたものの、目の前にある彼の端整な顔立ちに顔が熱くなるのを抑えられない。


「…無意識だったからなんでアルテマが使えたかはよくわからないの」
「火事場の馬鹿力とか言うやつか。それにしても、***って本気を出すとあんなに強いんだな。正直助かった」
「本当に?」
「ああ。それに……俺のために体張って戦って、女の子のあんたが戦うことは不本意だが、嬉しかった」


セフィロスがいなかったらこんな展開にはならなかった。―セフィロス、感謝してる!とこっそり思うことにした。近付いてくる唇にそのまま目を閉じようとした瞬間、ティーダがこちらをジー…っと見つめてくる視線に気付く。慌ててお互いの距離をとるものの、愛の力は凄いっスね!というティーダの言葉には照れながらも頷いていた。
その奥でクリスタルが祝福してくれるかのように、輝いていた。



(あの、でもね、本当はか弱いんだからねっ!)
(え、)
(いや…頷いて欲しかったな…)


DFFのFF7ストーリーのムービーから。あののばらとかね、色々口説いているように見えてしまったためにできた産物でした。
20090125




 


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