記憶力もいいのさ、当然だろ?



将来を誓い合った仲、って、あの時は本気でもそんなの叶いっこないんだ…よ……。

両親が神羅で働いていたと言うこともあって、私も小さい頃からよく神羅ビルには遊びに行っていた。その時、偶然に金髪の男の子…今の副社長のルーファウスに会ったんだ。その当時は身分とか、組織とか、神羅のことなんて互いに全く知らなかったから普通に友達として遊んだ。両親がプレジデントの息子と知りながらも私をルーファウスと遊ばせてくれたのは、きっと私たちが小さい子供だったからなのだろう。もちろん、年齢が上がるにつれて彼の立場だって自覚したからあまり一緒にいることは無かった。が、しかし、両親の影響なのか運命なのか、結局私も神羅に入社した。


「…ルーファウス様、失礼致します。こちら、ゴールドソーサーの方から手紙が届いております」
「そうか。置いておいてくれ」


こいつ、副社長という身分でありながらあれか、あの娯楽施設で遊んでたのか。ゴールドソーサーには綺麗なお嬢様たちがたくさんいる。女遊びでもしてそうなんだよなぁ…。秘書の私に重労働させておいて。


「何を考えているのか知らんが私は遊びに行ってたのではない。あの施設建設の総監をしていたのだ。女遊びしてたとか、勘違いしているのだろう?」
「……してそうな顔立ちだから悪いんですよ」
「何か?」
「いーえー」


女遊びというか、小さい頃からは想像がつかないくらい格好良くなった。普段は冷たい癖に急に優しくなったり、飴と鞭の使い方を心得ているというか。本当にエリートだよね…。そうなると、やっぱり彼が結婚するならどこかの貴族のお嬢様とか、有力な会社のお嬢様とか、なんだろうなぁ。小さい頃の約束なんてもう忘れられてると思う。立場もあるけど、きっと好みのタイプだって変わってるだろうし。ずっとルーファウス一筋だった私にはちょっと辛いけど。


「でも、いい加減結婚しないと駄目かな」
「…待て」
「なんですか、ルーファウス様」
「***は物忘れ激しいのか。それとも強く頭を打ったか?そもそも何故敬語なんだ、***にそんな言葉使われると気味が悪いのだがな」


執務室を出ようとした私の腕をグイッと強引に引き、ルーファウスに抱き寄せられた。こんなことされたの初めてで嫌でも頬が熱くなる。恐る恐る、視線を上へと移動させればそこには当たり前だけど彼の顔があった。信じられないほど鋭くて、妖しくて…ゾクリと鳥肌がたった。こんな表情、一度だって見たことが無い。それとも私に向けたことがないだけなのか。蛇に睨まれた蛙の様に動けなかった。抵抗しようと試みるものの、やがて催眠にかかった様に気力が失せてただ身を預けるだけ。


「お前は、あの時に交わした約束を戯言だと思っているらしいが、冗談にしたことなど一度たりともない。お前には、私だけで十分さ」
「……私には…ルーファウス、だ、け?」
「そう。いい子だ…。女遊びが激しいと言うのも誤解だ。忘れろ」
「う、ん、」


果たしてそれが嘘なのか、本当なのかわからない。けれど、私はルーファウスのこと、ずっとずっと好きだったからそれでいいんじゃない。喜びなさい、私。


「いいか、***は、私の嫁だ」
「ルーファウスのお嫁さん……うん、私ルーファウスのこと、すき」
「あの時の告白だけは私もずっと覚えていたからな。忘れられては困るよ、クク」




(忘れるわけないでしょう、貴方との思い出だけは全部、記憶に残っているのだから)

ルーさまちょっと鬼☆畜…!←








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