爆弾投下!



バレンタインデー。ソルジャーとして毎日毎日忙しく各地を飛び回る私にとってはかなり厄介な日。よくわからないけど同僚の皆や何故かタークスの面々にまで期待されてしまっているようでチョコレートを作らなくてはいけない。あぁもう私はお菓子作りとか得意じゃないのに!私にとっては『忙しいのに任務以上に苦労するであろうチョコ作りをさせて過労死させられそうな日』…となるだろう。たぶん1人で作ってたらチョコレートが焦げてとんでもないことになること間違いないので友人のエアリスに手助けしてもらうことにした。


「へぇ、モテモテだね!いいなぁ」
「そうかな…作るの大変なだけだと思うけど」
「そう?…ねね!***って本命いるの?もしいるなら告白しちゃえばいいのにぃー!」


いることはいる、というかいないわけじゃないというのが適切なのかな。恋愛話となればしつこいほど尋問の如く問い詰めるエアリスに敵う筈もなくボソボソと耳打ちをしてみせた。案の定それを聞いたエアリスはキャーキャー騒いで私の100倍以上もはりきりだしてしまった。そんな、告白するつもりないんだけどな…。エアリスにその本命専用チョコレートを作っている最中、このチョコには好きな人が自分に惚れちゃうとっておきの秘薬を混ぜてあげよう!とか言って本気で不気味に見える色の薬を投入しようとしていたので爆弾発言によりチョコと共に固まってしまいそうだった私はあわてて彼女をとめた。心から残念そうだったエアリスに少しだけ恐怖を覚えたのは秘密。




半徹夜で最後のラッピングまで手伝ってくれたエアリスには最終的に深々と感謝をしておいた。そこから出勤時間まで仮眠をとってから急いで神羅ビルへと向かった。ソルジャーとしての仕事をするよりもこういう行事の方がドキドキするのは間違ってないと思う。…あぁぁぁ、お腹が痛いような…。周囲の視線を気にしながらブリーフィングルームへとそろりそろり進むとその部屋には予想通りというかいつもの面子が揃っていた。なんでいるんだよぉ…。メンバーで1番先に飛びついてきたのはザックス。


「おっす!なぁなぁ!ちゃんとバレンタインのチョコ持ってきたのか?」
「おはよう。…皆が言うから仕方なく、これ」
「おおおぉぉ…!***大好きだぁああああ!!」


ザックスの恥ずかしい発言は軽く流し、机の上に寄りかかるように座っていたジェネシス、床でバスターソードの手入れをしていたアンジール、朝から仕事に追われている統括、そして何でいるんだしばらく一緒に任務する予定なんて無かっただろうタークスのレノとルードとツォンとシスネが部屋の隅の方で井戸端会議のような打ち合わせをしていた。…皆これを待ってたのか!!仕事をやれ仕事をと叫びそうになった私。抑えろ…。そのメンバーには一口サイズのを数個入れたチョコレートケーキをあげた。ここまではいいんだよね、まだ。が、ラスボスの如く壁にもたれて腕を組んでジッとこちらを見るのは英雄セフィロス。普段ならば同僚として平然と喋る事ができるのだが状況が状況だ。たぶん今歩いてる私は右手と右足が同時に出ていると思う。


「セフィロス、これどうぞ」
「あぁ」
「え、セフィロスの包みだけ違わないか?なんか…凄い高級そうな」
「あ、まぁ…皆にはチョコレートケーキだから」


何を隠そう、本命はその高級包み紙を使ってラッピングをしたチョコを受け取るセフィロスなのだ。彼のだけはトリュフにしている。勿論ここにいる皆が大好きで、タークス陣は相談相手になってくれるしザックスは友達のようだしアンジールは優しいお兄さんで、統括は頼りになるお父さん?だし、あと最近ザックスの会話に出てくるクラウドって子も弟みたいで可愛いし。…じゃあジェネシスは、と訊かれたので好きなお友達、と答えた。僅かにその部屋の空気が冷えた気がした…。


「…***はジェネシスが好きなのか」
「うーん…」
「じゃ、じゃあさセフィロスのことはどう思ってんの?」
「!、……あ、ぃ…」
「してる?」
「ちょ、シスネ言わないで!」


こんな知り合いというかもう腐れ縁のような皆に、しかもセフィロスがいるまえなのに言われてしまっては恥ずかしくてたまらない。ゆでだこのようになるというのはこういうことだ。ちらり、セフィロスに視線を向けると彼は無反応……というか固まって、る。それを見たレノが免疫ゼロだな、と。…とか溜め息をついていた。彼に限ってそんなことは!と思いたかったが実は本当に驚きで固まっていたというのは後で知った話。



爆弾下!
(本命の女からの告白がこうも衝撃的だとは思わなかったんだ)







あきゅろす。
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