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本音、建前、ホンネ





くらくらする。


うっかりオブジェ造りに没頭しすぎたせいか。





寝不足。






たぶん一昨日の夜から寝てない。

物を食べることも忘れていた。



寒いし、眠いし、腹減ったし。



こんなときには。













「ハイハイ誰……」



数回叩いてすぐに開いた扉。


そして固まる家の主。





「エト……どしたの猩チャン」

「さみぃ」









部屋の暖かさで手足がじんと痺れる。


渡された毛布に包まり、これまた渡されたホットココアで暖を取る。



ぶっ飛んでいた指先の感覚も戻ってきた。





「……またアレ創ってたノ?」


家の中なのにサングラスを掛けたままのオレンジが、呆れたように声をかける。



「うるせぇ俺の勝手だろ」


そういうと、ぴっと顔に指を向けられる。


「隈。ひどいヨ。何時から寝てナイノ」

「一昨日?……腹減った。なんかよこせ」




盛大に溜め息を吐かれた。

本当は色々言ってやりたいが、気付くと痛くなる切り傷同様、疲れがモロに出てきた。



目が霞む。



「ちょっと待ってテ。確かチョコレートどっかにあったカラ」



なんでまた甘いものなんだよ、そんな目線を向ければ。




「一昨日から食べてないナラ、突然物食べたら胃がびっくりするでショ?だからチョコレート」




まるで子供をあやすような口調。


苛立つのに、眼を見てしまったら何にも言えない。




何でかなんてわかんねぇけど。






待つ事5分程。

ようやく見つけたのか、賞味期限がどーとか言いながら戻ってきた。


「ゼタ遅ぇんだよ……」

「ゴメン。お菓子に埋もれテタ」


一口大のチョコの袋詰め。

金色の包装とねじられたセロハンの光の乱反射。



コイツの家にはお菓子がどれだけあるんだと思いつつ、手を伸ばし、袋を開ける。
途端広がる甘ったるい匂い。


と、くきゅう、と哀しげに鳴る空っぽの袋。




目の前でくつくつ笑う声。


睨み付けて、焦茶のそれを口に含む。





……甘い。



二個、三個。



口の中でゆるく溶けていくチョコに、思考回路も解けていく。


こんな状態ではカフェインも歯が立たないらしい。




すっかり暖まった身体は、その暖かさに誘われるように、睡魔に侵食されていく。



「猩チャン、そこで寝ないでヨ〜?ベッド特別に貸してあげるカラ。そこ行ってから寝テ?」



「嫌だ。さみぃ」


「もう暖まったデショ?それに布団かぶれば寒くないシ」

「テメェもこい」





立ち上がって、狩谷の腕をひっぱる。





寒いだけ。



あと、抱き枕にするため。




それ以外に意味なんて、ない。






「ちょっ、猩チャン!?」

「ゼタうるせぇ。黙っとけ」



驚く狩谷は無視。


そのままベッドに引きずり込む。





「はー……あったけぇ……」





目を閉じれば、他人の心音。

自分以外なんてどうでもいいのに。





どんどん深い意識の底に沈む思考。






ふ……と微かに笑う声がして、掴んでいた身体が動く。


かたん、と何かを置く音がして、温もりが布団の中に戻る。





「オヤスミ、猩チャン……」





唇が、触れた気がした。

























―――――――


甘ッ!!!

何なのコレ(笑)


素直になれないし気付かないふり
たぶんこんなこと数回やってる。

そんなゼタさん







あきゅろす。
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