よろずや東海道本舗(香×志摩)
心の傷 ※R18
朝からドラマの撮影でスタジオに入っていた香は撮影の合間に監督の高田から声をかけられた



「今日の撮影が終わったら話があるから僕の部屋まで来てーー」



香は高田に言われた通り撮影が終わると、高田が泊まっているホテルの部屋を訪ねた

「話って何だろ」

コンコンーー

ノックをすると、中から「入りたまえ」と返事があった

「失礼します」

中に入るとソファーに座った高田がコーヒーを飲みながら手招きをする

「監督、話って・・・」

「まぁ、座ってコーヒーでも飲みなさい」

そう言って高田はそばにあったポットからコーヒーを注いで香に差し出す

「いただきます」

香がコーヒーを飲んだのを見て高田はニヤリと笑った

「あの、監督・・・?どうかしまし・・・」

言い終えないうちに急激な眠気に襲われ、香はソファーに倒れ込んだ




「ん・・・」

ぴちゃぴちゃと鳴り響く音と自分の身体に違和感を感じ、香はゆっくりと目を開けた

「おや、お目覚めかい?」

「!!」

目の前の光景に香は我が目を疑った

裸にされ、手足をベッドに縛られた状態で、あろうことか高田は自分の股間に顔を埋めてぴちゃぴちゃと音を立てながら香自身を舐めていたのだ

「あんた、何を・・・っ」

「何って、決まってるじゃ無いか。君のココを味わっているんだよ」

「気持ちいいだろう?」と高田は下卑た笑いを浮かべる

「ふざけるな!放せ!!」

「あまり暴れない方がいい。傷になってしまうよ?」

香の抵抗する様子を楽しそうに見ていた高田は、おもむろに机の上にあった透明の液体を香自身に垂らした

冷たさにビクッと震える香の身体に舌を這わせる

「やめろっ!」

這い回る舌の気持ち悪さに吐き気がする

「すぐに気持ち良くなるから楽しみにしてなさい」

言っている意味がよく分からず聞き返そうとした瞬間、ドクンと香自身が脈打った

「っ!?・・・熱い・・・何、どうなって・・・」

「効いてきたみたいだな」

さっき高田が垂らした液体は媚薬だった

身体が火照り、全身の神経が脈打つ感覚に香は戸惑った

「さっきの・・・あれ、・・・」

「ああ、あれは媚薬″だよ」

そう言って香自身を持ち上げ上下に擦る

「っ・・・あっ・・・やめ・・・」

「気持ちいいかね?」

高田が動きを早めると香は呆気なくイってしまった

「はっ、・・・はっ、・・・」

息が上がっている香の口に高田が口付け、そのまま口内を貪られる

「ふっ・・・ん・・・」

ようやく解放された時にはもう頭では何も考えられなくなっていた

「そろそろ次に行こうか」

そう言って高田は先程の媚薬を、今度は香の秘孔に塗り始めた

「やめろ、・・・っあ・・・」

排泄する器官に指が入ってくるのが分かる

けれど朦朧とした意識ではたいした抵抗も出来ず、あっという間に指が奥まで侵入する

「抜け、よ・・・っ・・・んぁ」

次第に中までじんじんと熱くなってきて、もうどうしていいか分からず香は身体をくねらせた

「君を見た時からずっとこうしたかったんだ。はやり、君は美しい」

指が3本になり、ぐちゃぐちゃに中を掻き回される度に香の口からは喘ぎ声が漏れる

身体の奥が熱く疼いてどうしようもなかった

指がある一点を掠めると明らかに香の身体がビクンと反応を示した

「ここか、君の良いところは」

「あっ、・・・やっ・・・そこ、・・・アアアァァ!」

感じるところをグリグリと強く押され思わず叫ぶ

媚薬で敏感になっているそこを執拗に弄られ、香はもう何度目か分からない熱を放った

「はぁ、はぁ、・・・もう、やめ・・・」

「君だけ楽しんで終わりというのはあんまりじゃないかね?私もそろそろ限界なんだ」

高田は反り上がった自身を蕾に当てがうとゆっくりと奥へと進めた

「はっ・・・ぁあ・・・ぐっ」

「もう少し力を抜いてくれないか」

指とは比べものにならない大きさの物が、中を押し広げて入って来る感覚に香はぎゅっと目を閉じた

「ちゃんと奥まで入ったよ?」

確かに高田が言うとおり太いものが奥まで入っているのが分かる

痛みとは別の何かが香の感覚を狂わせる

「動くからね」

そう言った高田は奥まで入れていた自身を抜き差ししはじめる

「ああ、・・・あっ・・・やめ・・・んっ・・・あぁ」

動きに合わせて喘ぎが自然と漏れる

今、この場で香を支配していたのは間違いなく快楽だった

「君の良いところはここだったかな・・・」

さっき見つけた香の感じる場所を狙って何度も突き上げる

「ああぁぁ・・・そこ、・・・嫌、だ・・・ああん・・・あぁぁぁ」

「嫌″じゃなくて良い″の間違いだろう?」

高田はギリギリまで引き抜くと一気に際奥まで突き上げた

「あああぁぁぁ!!」

一際大きな喘ぎ声と共に香は大量の熱を放ち、高田もまた香の中に己の欲望を吐き出した

香はそのまま意識を失った






目覚めた時には部屋には誰も居なかった

香はさっきまでのことは夢だったのかと思ったが、身体のだるさと鈍い痛みにあれは夢ではなかったのだと思い知らされる

「痛っ・・・俺、何してんだろ」

男に犯されて、散々よがっていた自分が信じられなかった

「ぐっ・・・」

急な吐き気に襲われトイレに駆け込む

吐く物など無かったのだが、吐き気は一向に収まらず香はその場にうずくまった

(香、大丈夫ですか?)

頭の中でキョウの声がする

「全部見てたんだろ?」

(・・・ええ。すいません、何度も変わろうとしたのですが)

「あの時は君の声が聞こえない位、頭の中まで一杯だったからな」

香は自嘲気味に答える

(身体は大丈夫ですか?)

「ああ」

(香・・・)

「悪いけど、今は話したくない」

キョウの呼びかけを香は拒絶した

部屋に戻ると先程までの情事の光景が思い出される

「俺は、さっきまでここで・・・」

薬のせいだったとはいえ、確かに快楽に溺れたのだ

自分の中に入ってきた大きな塊

その塊に奥を暴かれ、貫かれて気持ち良い″と思ってしまった

まだその感覚が残っている

身体の中にはあの男の欲望も残ったままだ

香はシャワーを浴びようと浴室に向かった




シャワーを出しながら自分の指を中に入れてみる

さっきまでもっと太いものを受け入れていたソコは難なく香の指を受け入れた

「ふっ・・・んぁ」

欲望を掻き出す為に指を増やし中を掻き回すとまた声が漏れた

「こんな時でも感じてるのか、俺は・・・本当、最低だ」

それでも中が綺麗になるまで何度も指を入れては掻き回す

もう全てがどうでもよかった





身体の怠さはまだあったが、とにかくこの場から離れたくてホテルの部屋を飛び出した

それでも家に帰る気にはなれなくて、誰もいない公園のベンチに腰掛ける

冷たい夜風が身体の熱を奪っていく

ポツンと立った街頭に照らされた香の表情は悔しそうに歪められていた




「あれ?香ちゃん?」

ふいに聞こえた声に香は弾かれた様に顔を上げる

「志摩、さん・・・?」

「やっぱり香じゃねぇか、どうしたんだよ?こんな時間にこんな所で」

「志摩さんは?」

志摩の質問に質問で返す

「俺は依頼の帰り。香ちゃんは?」

何て答えようか迷っていると志摩が顔を覗き込んできた

「香ちゃん、なんかあった?」

自分の事を心配する様に覗き込む志摩の顔を見た途端、香は張り詰めてた糸が切れたように志摩の身体を抱きしめていた

「ちょっ、香!?急に何だよ!」

「ごめん、少しだけこのままでいさせて・・・」

(香ちゃん、震えてる・・・?)

顔は見えないが、辛そうな声と微かに震える身体に気付き、志摩は香の背中に手を回してトントンとあやす様に軽く叩いた

さっきまであの男から与えられていた温かさとは違う温もりに、香は心が少しだけ和らぐのを感じた





「ありがと、志摩さん」

しばらくそうしていた香がゆっくりと身体を離す

「大丈夫か?」

「・・・うん。」

二人の間に沈黙が訪れる

「俺さ・・・」

香が口を開くが、その先を言うのを躊躇っている様子が見て取れた

「別に言いたくなかったら無理して言わなくていい」

志摩がそう言って優しく笑うと香が小さく首を横に振った

「俺・・・」




犯されたんだ、男にーーー




その言葉に志摩は耳を疑った

「かお、り・・・?お前、今なんて・・・」

「ついさっき。監督に話があるって呼び出されて、睡眠薬飲まされて・・・気付いたらベッドの上で服脱がされて、手足縛られてた」

予想もしていなかった香の話に志摩は何も言えない

「媚薬塗られて、前も後ろも散々弄られてるうちに訳分かんなくなって、女みたいな声で喘いで・・・男のモノ入れられてイったんだ」

「もういい!」

淡々と話す香に、これ以上聞いていられなくて志摩は叫んだ

「俺のこと、軽蔑した?」

そう言って冷めた笑みを見せる香は志摩の知っている香ではなかった

「軽蔑なんてするわけ無いだろ。何て言って良いか分かんないけど・・・とにかく、お前は何も悪く無いし、自分のことそんな蔑むような言い方するなよ!」

おそらく今の香の心には何を言っても届かないだろう

それでも、香をこのままにはしておけなかった

このまま返したら何処かに行ってしまいそうな気がした

「今日は俺の家に泊まってけ」

帰り道、香は一言も口をきかなかった





家に着くと香と自分の分のホットミルクを用意する

「ほら、これ飲んで少し温まれ。風邪引くぞ?」

「いや、いい。」

「良いから飲めって」

志摩の強引さに負け一口飲む

温かいミルクが冷えきった身体を溶かしてくれる、そんな気がした





「俺のじゃちょっと小さいだろうけど、我慢しろよな?」

「ああ」

ルームウェアを差し出すが、受け取った香はそれを着ようとしない

「どうした?」

「ごめん、やっぱいい」

「?」

首を傾げる志摩に香は服の襟をはだけさせて見せる

そこには、くっきりとあの男が付けた跡が残っていた

おそらく他にもあるのだろう、志摩は気まずくなって話題を変えた

「そーいえば、香ちゃん腹は?何か食べるか?」

「って言ってもカップ麺ぐらいしか無いけど、」と言って笑う

言われるまで気にしてなかったのだが、香も昼に弁当を食べたきりだった

正直なところあまり食欲は無かったのだが、志摩が気を遣ってくれているのが分かったので一緒に食べることにした

「熱っ!」

「志摩さん、あんまり急いで食べると火傷するよ?」

カップ麺を美味しそうに食べる志摩の顔を見て、自分は本当にこの人に救われてるな、と思った



「よし、じゃ寝るか!」

「うん。おやすみ」

疲れもあってか、すぐに眠りについた香を見て志摩も安心した様に眠った





「っはぁ、はぁ、はぁ・・・」

明け方、香は悪夢で目が覚めた

夢の中で、香はまたあの男に犯されていた

指で、舌で、男自身で・・・

またあの生々しさが蘇る

逃げられない″

そう悟り、絶望したーーー





まだ薄暗い室内を歩き、風呂場へ向かった

バスタブに水を張る為、蛇口を捻る

ジャーという水音で志摩は目を覚ますが、香が風呂に入るのだと思い、もう一度眠りにつく

香はバスタブに水が張られていくのを静かに見下ろしていた

溢れる寸前で蛇口を止めた香の手にはカミソリが握られている

(香、何をする気ですか!?)

キョウの呼びかけを無視して手首にカミソリを当てた

(やめなさい!香!!)

キョウが出てこようとするのを抑え込み、カミソリを思いきり引く

真っ赤な血が飛び散ったのを見つめながら、手首を水に浸けた

ドクドクと脈打つ様に体内の血が外へ流れていくのが分かる

次第に水は血で真っ赤に染まり、香の顔からは血の気が失せていく

視界がぐらりと歪み、立っていられなくなってその場に座り込む

「志摩さん、ごめん・・・」

意識を失う寸前、キョウが「変わりなさい!」と叫ぶ声が聞こえた





バタンーー!!

勢い良く扉の閉まる音で志摩は飛び起きた

「どうしたんだよ、・・・なっ!香!?」

「志摩さん・・・」

手首を押さえているタオルが血で真っ赤に染まっていた

「香が・・・自殺を図りました」

「っ!?」

「寸前で変わることが出来ましたが、もう少し遅ければ・・・」

香が自殺ーーー

(何でもっと気を付けていなかったんだ俺はっ!)

香の心が不安定なのは分かってた筈なのに・・・

「キョウ、ごめん。俺、側に居たのに香に何もしてやれなくて、何て声かけていいか分からなくて・・・」

「いえ、私も同じです。香があの男に犯されてる時も、変わってあげられなかった。一番近くにいて、一番香の苦しみを分かっていたのに・・・今も、香が死のうとしているのが分かっても何も出来ませんでした」

「でも、お前が居なかったら香は・・・」

「ですが、香の意識が戻れば、また死のうとするかもしれません。私ではあの子の心までは救ってあげられない・・・志摩さん、香のことをよろしくお願いします」

フラッーー

「キョウ!!」

出血のせいで立っているのも限界だったのだろう

キョウの身体がぐらりと傾くのを志摩は慌てて支えた

「しっかりしろ!とりあえずベッドまで歩けるか?」

「はい・・・」

キョウをベッドに横にならせ、傷の手当てをする

「少し眠ってろ、疲れただろ」

「はい。志摩さん、香のこと・・・」

「心配するな。香は俺にとっても大切な存在なんだ」

志摩がそう言うと、キョウは安心した様に目を閉じた





「ん・・・」

うっすらと目を開けるとぼんやりと天井が見える

(俺・・・どうして・・・ああ、そっか・・・俺、死のうとしたんだ・・・)

「香!?」

「志摩、さん・・・?」

「良かった・・・!」

自分を見つめる志摩の顔には、明らかに安堵の表情が浮かんでいてーー・・

「俺・・・生きてる・・・?」

「馬鹿!!」

急に怒鳴られて胸ぐらを掴まれた

「どうして死のうとなんかしたんだよ!!」

本気で怒る志摩に香が何も言えないでいると、次第に胸ぐらを掴んでいた手が力なく下がる

「どうして・・・どうしてだよ・・・」

うつむく志摩の瞳から涙がこぼれた

「志摩さん・・・ごめん」

「お前が、死ぬかもって思ったら・・・怖かった」

香は志摩の頭を抱き寄せるとぎゅっと抱きしめた

自分のせいでこの人にこんな顔をさせているのかと思うと、死のうとしたことを少し後悔した

「ごめん・・・」

「本当に悪いと思ってんなら、もう二度と死のうなんて考えるな!俺じゃお前の心の傷は癒せないかもしれないけど・・・でも、お前が大切なんだ。失いたくない・・・」

「志摩さん・・・」

真っ直ぐ自分を見つめる志摩の言葉に、香はこの人を悲しませないために生きよう″と思った

「志摩さん、本当にごめん。だからもう泣かないで?」

目を見つめて微笑むと、急に恥ずかしくなったのかもう一度香の胸に顔を埋めた

どうしたものか、と困っていると志摩が突然突拍子もないことを言い出した

「香ちゃん・・・俺のこと、抱いて?」

「はっ!?ちょっ、志摩さん!?」

「ダメ・・・?」

上目遣いで香を見つめる仕草が妙に色っぽい

「・・・志摩さん、意味分かって言ってる?」

「当たり前だろ///こんでもスゲー恥ずかしいんだぞ!」

どうしていきなりこんなことを言い出すのか、とにかく訳を聞いてみないことには返事が出来ない

「あのさ、志摩さん・・・何で急にそんな話になったの?まさか志摩さん、そっちの気があったとか・・・?」

「んな訳ねぇだろ!俺はホモでも無いし、こんなこと言うのも初めてだよ」

「じゃあ、どうして?」

「お前に少しでも近づきたいって思ったんだよ。近くで、お前が生きてるって実感したいんだ・・・不安なんだよ、お前がいなくなっちまいそうで・・・だから・・・」

吐き出すような志摩の言葉に、思わず香は自分の唇で志摩の唇を塞いでいた

「ふっ・・・ん・・・」

(やべぇ・・・香、キス上手過ぎ・・・頭ん中溶けちまいそう)

「志摩さん、本当にいいの?俺に抱かれるの平気?」

香の問いかけに志摩は頷き、今度は自分から口付けをする

香の吐息が、熱が、志摩の身体を熱くさせる

「香・・・服脱いで・・・」

「けど・・・」

付けられた跡を気にしているのだろう

「いいから、脱げって」

服を脱いだ香の白い肌にいくつも残る赤い跡

「俺、汚いよ?」

「何言ってんだ、お前は綺麗だ。ここも、ここも、全部・・・」

香の肌に付けられた跡の上から強く吸って跡を残す

まるで塗り替えるように何度も、何度もーー

「っ志摩、さん・・・」

昨日あの男にされたときには気持ち悪くてどうしようもなかった行為が、今は甘い疼きに変わっていく

「香・・・」

名前を呼ばれて志摩を見る

「ここ、舐めていいか?」

香自身を手で包み込み口に持っていく

「・・・あっ・・・嫌だ!!!」

それは明らかな怯え

小さく震え出す香の身体を志摩はきつく抱きしめる

「香、目開けろ。今、目の前にいるのは誰だ?」

「志摩、さん・・・?」

「そうだ。お前に触ってるのは俺だ、他のヤツのことは考えるな」

「・・・うん」

香の身体をゆっくりと離し、香自身を口に咥える

「ん・・・あっ・・・志摩、さん・・・」

目を開けて志摩の姿を確認した香は、志摩の艶かしい姿に身体の奥がゾクリとするのを感じた

「志摩さん、も・・・イきそう・・・」

「ん、いいぜ」

「離して・・・っあ!」

志摩の口の中でイってしまった

「ごめん!志摩さん」

「いいって。それよりまだこれから、だろ?」

「志摩さん・・・本気なんだ」

「最初からそう言ってるだろ。ほら・・・」

誘うような志摩の身体に自然と手が伸びていく

男同士だとか、そんな事どうでもよくて・・・

ただ志摩の体温を感じたかった

「香、ちゃん・・・っ」

指を第二関節まで入れると志摩の身体が強張る

「志摩さん、力抜いて」

ゆっくり指を動かして中を広げていく

「あ・・・香ちゃん・・・なんか、変・・・あっ」

「指もう1本増やすよ?」

2本の指を奥まで入れるとくぐもった声が漏れる

(確かもう少し奥に感じるところがあったはず・・・)

自分のときのことを思い出してみる

正直、あまり思い出したくはないが、志摩を気持ちよくさせたくて香は記憶を辿る

「香ちゃん・・・?」

つい手が止まってしまった香を志摩は潤んだ瞳で見上げてきた

「ああ、ごめん。俺がそうだったように、志摩さんにもいいところがあるんだろうな、と思ってさ」

「無理に思い出さなくていい。香ちゃんのしたいようにして・・・?」

「志摩さん、今すごく可愛い」

「・・・バカ。」

指の動きを再開させると志摩が身体をよじる

すると指にコリッとしたものが当たった

「んーー・・!!」

「ここか、志摩さんの感じるとこって」

2本の指で引っ掻くように擦ると志摩の身体がビクンと跳ねた

「香ちゃ・・・そこ・・・だめ・・・あっ・・・」

「志摩さん、気持ち良い?」

「やっ・・・分かんない・・・あっ、そこばっかり・・・やだって・・・」

志摩の反応が可愛くてつい苛めたくなる

「分かった。じゃ、これ以上は触らない」

動きを止めて志摩の顔を見る

「や・・・だ・・・やめないで・・・香ちゃんの・・・いじ、わる・・・」

その表情に香は我慢が出来なくなった

「ごめん、志摩さん。もう入れるよ?」

「えっ!?・・・あ″っ!!」

ズン、と入ってきた太く熱いモノに息が止まる

「志摩さん、息ゆっくり吐いて」

志摩のものを上下に擦ると再び首をもたげてきた

「志摩さん、俺が中にいるの分かる?」

「ん・・・香・・・熱い」

「志摩さんの中も凄く熱くて気持ち良いよ」

「本当、・・・?」

「うん。動くよ?」

出し入れを繰り返すたびに志摩の喘ぎ声が部屋に響く

「あん・・・あっ・・・香・・・っ・・・ああん・・・もっ・・・イく・・・ああ・・・かお、り・・・香ーー・・!!」

自分の名前を呼ばれるたびに愛おしさが込み上げてくる

「志摩さん・・・俺も・・・もう、限界・・・」

腰の動きを早め、絶頂に向かって昇っていく

2人同時に達し、顔を見合わせて笑う

繋がったまま、お互いの存在を確かめるように何度もキスをした

もう死にたいとは思わなかったーー・・



「ったく、香ちゃんてば激しすぎ・・・あー腰痛ぇ」

「ははっ、でも志摩さんだって意外とまんざらでもなかったじゃん」

そんなに気持ち良かった?と顔を覗き込めば「バカ///」と真っ赤になって照れる志摩の表情が見れた

「俺、ハマっちゃいそう」

「お、お前なぁ・・・」

「志摩さん」

急に真顔になって名前を呼ばれる

「急に改まって何だよ?」

「ありがと」

香が微笑むと、志摩は照れ臭そうにそっぽを向いた

その様子に自然と笑みが零れた



心の傷が癒えるのにはまだ時間がかかるだろう

それでも、この人がそばにいてくれるなら

俺は、きっと大丈夫ーー・・




fin.

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あきゅろす。
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