相棒(神戸×杉下、大河内×神戸)
贖罪
城戸は有罪判決を聞いた時、何を思っただろうか

偽証をした俺に対する怒りか

信じてもらえない事への絶望か、

今更いくら悔やんでもどうにもならない

あの時、確かに俺は裁判で偽証し、その結果城戸は俺を憎んで自ら死を選んだ



事件が解決し、杉下に裁判での証言の事を聞かれた時覚悟を決めた

あの人ことだからきっと気付くだろうと思っていた

もうとっくに時効ですがね″

その言葉が胸に深く刺さった



結果を報告する為、神戸は大河内とホテルのバーラウンジで待ち合わせた

神戸はワインを飲みながら事の顛末を話して聞かせる

もちろん、城戸の裁判で偽りの証言をした事も

途切れ途切れに後悔を漏らせば、すぐに大河内は否定の言葉を返してくる

しかし神戸は自分を責め続けていた

偽証などしなければ、城戸が自殺することも無かったと思うと、自分自身に対するやりきれない怒りが湧いてくる

1人の人間の命を奪ったという自責の念が神戸に重くのしかかる

どこまでやれば贖罪になりますかね、と呟く神戸の表情は辛そうで、大河内は今回の件を任せたことを少し後悔した

神戸は側から見ると何事も卒なくこなし、飄々としているように見えるが、実は繊細で傷付きやすい

そして、それを隠して無理にでも笑顔を作る

そんなことに慣れてしまった彼がここまで感情を表に出すのは珍しいことだ

「俺は、警察官だったのに・・・っ」

神戸を落ち着かせるため大河内はホテルの部屋を取った



「すいません、何か酔っちゃったみたいで」

神戸が窓から見える夜景を眺めながら呟く

窓ガラスに映る神戸の表情が自嘲の笑みを浮かべているのに気付いた大河内は、神戸の傍に立ち、その瞼をそっと手で覆った

「俺の前では無理に笑うな」

ーーもう限界だった

「・・・俺は、っ・・・」

大河内は黙って神戸の背中を優しくさする

ずっと泣けなかったのだろう

肩を揺らして泣く神戸を、大河内は軽く自分の胸に抱き寄せ、背中をあやすようにトントンと叩いた

しばらくして落ち着いた神戸は少し気まずそうに大河内から離れた

「みっともないところを見せてすいません」

「気にするな」

「大河内さん、ありがとうございます」

照れくさそうに小さく笑った神戸の顔は、もう無理に作った笑みでは無くなっていた

「俺・・・ちゃんと向き合います。自分のした事が許される訳じゃないけど、少しでも償えるように」

そうか、と答えた大河内の瞳は優しかった

「忘れるな。俺は何があってもお前の味方だ」

神戸は、そんな大河内の目をまっすぐ見つめ小さく頷いた



fin.

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あきゅろす。
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