金田一少年の事件簿(高遠×金田一)
生きたマリオネットの殺害
話があると由良間の部屋に呼び出された高遠は、部屋に入るなり妙な緊張感に襲われた

「由良間さん?どうした…」

言い終わらないうちに、由良間は高遠を思いきり壁に押し付け顔を近付けてきた

「ちょっ、由良間さん!?やめて下さい…」

「お前、眼鏡外したら綺麗な顔してんじゃん」

勝手に眼鏡を外し、息がかかる程顔を近付けてくる由良間に高遠は内心毒づいた

(チッ、このド変態が。まさかこの男にそっちの趣味があるとはね。気色悪い事この上無いですが…さて、どうしましょうか)

それをおくびにも出さずあくまで気弱なマネージャーを演じる

「やだなー由良間さん、からかわないでくださいよ〜まさか酔ってるんですか?」

「別に酔ってねぇよ。ただ前からお前に興味があってな」

嫌な笑いを浮かべて由良間は高遠に強引に唇を奪う

「ん、んー…やっ、由良間さん…やめて」

マネージャーの演技のままで、どうにか抵抗するが力加減が難しいうえに体格的に高遠の方が不利だった

それでも頭では冷静に次の行動を考えている

(今ここでコイツを殺すのは容易いが、それでは計画が台無しだ。仕方がない、ここはもうしばらく様子を見るか…)

「その嫌がる顔がたまんねぇな、加虐心がそそられるぜ」

まさか目の前の気弱なマネージャーがそんなことを考えているなんて夢にも思わない由良間は、ニヤニヤしながら尚も高遠に迫る

「由良間さん、本当にやめて下さいっ…!」

「抵抗したって無駄無駄。安心しな、気持ち良くさせてやるからよ」

(おめでたいやつだ。せいぜい今のうちに楽しんでおけばいい、どうせ明日には死ぬんだからな)





―さて、復讐計画の幕開けだ―



「由良間さん、ちょっといいですか?」

次の日、部屋にやって来た高遠を由良間は何の疑いもなく招き入れる

「何だよ?今ショーの支度を…」

グサッー―‥

「高…遠、貴様…何を!?」

高遠が突然由良間の胸に薔薇を突き刺した

倒れ込んだ由良間が信じられないという顔をして高遠を見上げる

「薔薇の先に毒が塗ってあるんですよ。動けないでしょう?簡単に死なれてはつまらないのでね」

倒れた由良間を高遠は、上から虫ケラでも見るように見下ろす

「これが何だか分かりますか?」

手に持ったノートを由良間に見えるようにちらつかせる

見覚えのあるノートに由良間は驚いた表情を浮かべる

「そう、近宮玲子のトリックノートですよ。あなた達が殺した近宮玲子のね!僕はこのノートの正当な継承者だ」

その言葉に由良間は驚きに一層目を見開く

「そうそう、あなたには昨日の貸しもありますからね。私を汚した罰を受けてもらいますよ」

ニヤリと笑う高遠の笑みに由良間は背筋が凍るのを感じた

「いいですね、その顔。確かに怯える表情というのは加虐心がそそられる」

じわじわと恐怖に追い詰められ、苦しみながら由良間は死の瞬間を迎えた





息絶えた由良間の死体に向かって高遠が呟く

「楽しみにしてて下さい。あなたの死体は私のマジックで最高の芸術作品に仕立ててあげますよ」

その顔にいつもの気弱なマネージャーの面影は欠片も無い

あるのは、これから起こるマジックショーに対する自信に満ちた笑みだけだった





fin.

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あきゅろす。
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