金田一少年の事件簿(高遠×金田一)
薔薇十字館if〜毒〜
昼食をとるため一同は食堂へと集まり、各々の席に着く

金田一や高遠も席に座り、出された昼食を食べていた

そろそろ食べ終わろうかという頃、金田一はふと隣に座っている高遠の手が止まっているのに気付いて顔を覗きこむ

「高遠、どうかしたのか?なんか顔色が悪いぞ?」

「実は、先程から少し気分が悪くて・・・」

高遠の言葉に金田一は慌てる

「まさか昼食に何かが!?」

高遠はそんな金田一を一瞥して小さく頷いた

「おそらく少量の毒物でも混ぜたのでしょう。どうやら犯人は、私が“祭沢さんが殺された”と言ったのが気に入らなかった様ですね」

どこまでも冷静な高遠に金田一は苛立ちを覚える

「毒って・・・アンタ大丈夫なのかよ!?」

「ええ、大したことはありません。ですが、先に部屋に戻って休みます」

そう言って立ち上がった高遠だったが、その顔は蒼白でとても一人で歩かせれる状態ではない


金田一は高遠を横から支えた

「一人で歩けますから、離してください」

「このままだとアンタ倒れそうだし、ちょうど俺も部屋帰るとこなんだからいいじゃん」


金田一の食事はまだ少し残っており嘘を言ってるのはバレバレなのだが、金田一なりの気遣いなのだろう

観念したのか黙って歩き出した高遠だったが、案の定、廊下の途中で屈みこんでしまった

辛そうに息をつく高遠の背中を擦ってやる

「高遠、俺の部屋のが近いからそこで休め。部屋まで歩けるか?」

「・・・ええ、」

何とか部屋までは来れたが、それが限界だったのだろう。部屋に入った途端に高遠は意識を失って倒れた

「高遠っ!!」

咄嗟に金田一が抱き止める


と、丁度そこに美雪が現れた


「一ちゃん・・・?」


美雪が怪訝な顔で金田一を見ている


金田一はその意味が分からなかったが、とにかく高遠をベッドまで運ぶ為に美雪を呼んだ


「ちょうど良かった!美雪、手貸してくれ」


「えっ?あっ、うん!」

そばまで来てようやく高遠が気を失って倒れていることに気付いた


「美雪、どうかしたか?」


「あの場所からだと、一ちゃんが、その・・・高遠さんと抱き合ってる様に見えて」

「げっ!!冗談でも勘弁しろよ」


露骨に嫌そうな顔をする金田一に美雪は小さく笑う

「それより、高遠さんは大丈夫なの?」

「とりあえずベッドで休ませて様子を見るよ。部屋に入るなりいきなり気失って倒れちまったから」

「うん、分かった。何か必要な物があったら言ってね」

美雪はそう言うと金田一の部屋を出て行った



しばらくして、高遠の意識が戻ったことに金田一は少し安堵する

「高遠、大丈夫か?何か欲しいものはあるか?」

いつも余裕な表情を浮かべている高遠の辛そうな顔に、金田一はどうして良いか分からなくなる

「・・・金田一君、すいませんが・・・水を頂けますか?」

「分かった。ちょっと待ってろ」

高遠は渡されたコップの水を一気に飲み干した

少し落ち着いたのか、ベッドから起き上がろうとする高遠を金田一が止める

「もう少し休んでろ」

「ですが・・・」

居心地の悪そうな高遠の表情が何だか笑えた

「失礼ですね、人の顔を見て笑うとは」

途端に高遠がムッとする

「悪かったよ!アンタのそんな顔初めて見たからさ、つい可笑しくて」

「そういえば、君とは何だかんだで長い付き合いになりますね」

そう言ってまじまじと見つめられれば、今度は金田一の方が落ち着かない気分になってくる

「っ、それより!具合はどうなんだよ?」

「ええ、君のお陰でだいぶ楽になりました」

ありがとうございます、と微笑む顔を見ればそれが凶悪な犯罪者であることも忘れてしまいそうになる

「とりあえずもう少しここで休んでけ」

「・・・ではお言葉に甘えて」

横になる高遠の表情はやはり辛そうで、無理をしていることは明白だった

「そうだ、金田一君。ひとつ頼まれてくれませんか?」

「何だよ?」

高遠が耳打ちしてきたこと、それは犯人をあぶり出すための罠だった

普段は追うものと追われるもの、その関係が今だけは違っていることにまだ慣れない金田一だったが、次なる犠牲者を出さないためにも、もう少しこの共闘は続くのだろう

高遠の案を実行すべく金田一は必要な準備に取りかかるのだった





fin.

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