鋼の錬金術師(ロイ×エド ※死ネタ)
哀しみの行方

「あれ?兄さーん、おっかしいなーどこ行っちゃったんだろ…」

東方司令部へ向かう途中の街中でエドワードとはぐれてしまったアルフォンスは一人、兄をウロウロと探していた

その途中でよく見知った人物に会った

「ロゼ!?何でここに?」

その人物とは以前リオールで知り合ったロゼという少女だった

「アル!ちょうど良かった、助けて!追われてるの」

「え!?それってどういう・・・」

アルフォンスが言い終わらないうちにロゼがアルフォンスの手を引いて走り出す

「ロ、ロゼ!?ちょっと待ってよ」

「いいから早く!」
 





「アル?それに、あれは・・・ロゼ?」

エドワードは走っていく2人を見て慌てて後を追った

「・・・くそっ、見失ったか・・・ハァハァ・・・ん?あれは、大佐?」

2人を見失って荒い息をつくエドワードの視界に、見慣れた人の乗った車が映った

エドワードは何故か嫌な予感がして、ロイの車を追いかける





アルフォンスはどこかいつもと様子が違うロゼに違和感を感じながらも先を急いだ

段々と人気の無い所へ走っていき、とある廃屋の中に入った

「ロゼ・・・」

アルフォンスが口を開けかけたその時、誰かが入って来た

「見つけたぞ!!」

それはロイだった

「大佐!」とアルフォンスが喜びの声を上げるのに対し、ロイの表情は険しいままだ

「アルフォンス、そいつから離れるんだ」

ロイの右手には発火布がはめられており、ロゼに狙いを定めている
 
「大佐!どういうことです!?」

「そいつはここ最近起きている連続殺人事件の犯人だ。“殺せ”と命令が出ている」

ロイの言葉にアルフォンスは驚く

「そんな!ロゼは僕たちの知り合いです、そんなことをするはずが無い!!」

「邪魔をするな!」

そう言ったと同時にロイが右手をパチンと鳴らした
 
とっさにロゼを庇ったアルフォンスはロイが放った焔に包まれた



「アル!!!」
「アルフォンス!!」



駆け付けたエドワードが叫んだのとロイが叫んだのは同時だった

ガシャン、と音を立てて倒れた鎧に駆け寄ったエドワードは慌てて血印を確かめる

しかし、血印があった場所は黒く焼け焦げており、アルフォンスの魂がすでにそこに無いことを物語っていた

「う・・・そ・・・だろ?」

エドワードが愕然として呟く

「なあ、アル・・・?返事しろよ!アル!!アルフォンスーーー!!!」

いつの間にかそこにいたはずのロゼの姿は無くなっていた





「アルを・・・アルを返せ・・・アルを返せよ!!」

エドワードはロイに向き直り掴みかかる
 
その表情はロイが今までに見たことの無いくらいの憎しみが溢れていた

「鋼の・・・」

「・・・してやる・・・殺してやる!」

エドワードは側に落ちていたナイフを拾い上げ、ロイに向けてジリジリと距離を詰めていく

ロイはそれを悲しげな表情で、ただ黙って見ていた

その時、エドワードの脳裏にいつかのアルフォンスとの会話が蘇った



―兄さん、大佐のこと好きなんでしょ?


―なっ!?ば、馬鹿野郎!何言い出すんだよ、急に///


―照れない、照れない。大佐も満更じゃないと思うよ?
 
 

ポタッ――‥



「・・・出来ない・・・俺には、アンタを殺すことなんて出来ない・・・」

エドワードの目から涙が零れた

そしてエドワードは、ナイフを握った手を自らの胸に向けた

「やめるんだ!!」




グサッ――‥




「っ・・・」
 
「な・・・んで・・・?」

エドワードがナイフを掲げた直後、ロイはエドの手を取って自らの胸を突き刺した

「・・・っ・・・これで・・・いい、んだ」

ロイはエドワードを抱きしめながらそう言うと、崩れ落ちるようにその場に倒れ込んだ



カラン――‥



握りしめていたナイフが落ちたのと同時にエドワードが膝をつく
 
「大・・・佐・・・」

エドワードが声を掛けるが、ロイはすでに虫の息だった

「っ・・・すまない・・・ハァハァ・・・すま、ない・・・鋼の・・・」

何度も謝罪の言葉を口にするロイ

「すま・・・ない・・・エド、ワード――‥」

そして最後にそう呟いたきり動かなくなった
 
 



「目の前で弟を焔の大佐に殺され、その焔の大佐を自らの手で殺した。さて、鋼のおチビさんはこれからどうするんだい?」

遠くからエドワードを眺めていたロゼが呟いた

だが、その姿は徐々に変化してエンヴィーへと変わっていく

今回の一連の出来事は、全てエンヴィーが仕組んだものだったのだ

「本当、人間ってのは面白いね」

エンヴィーが楽しそうに笑う





エドワードは魂の抜けた空っぽのアルフォンスの鎧をロイの側に運んだ

アルフォンスとロイの間に人一人が入れるくらいのスペースを作って、エドワードがその間に立つ

「アルに怒られちまうかな」

自嘲めいた笑みを浮かべるエドワード

手にはロイを刺したナイフが握られている

「ごめん・・・でも、アルも大佐もいないこの世界で俺一人生きてたって、意味ねぇんだよ」



グサッ――‥



「・・・っ・・・また・・・アルと大佐と、3人で・・・笑って話せる・・・かな・・・」

エドワードはナイフを胸に刺して呟くとアルフォンスとロイの間に静かに横たわった――‥





fin.


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