鋼の錬金術師(ロイ×エド)
君がいるだけで ※R18


「ちわー」

いつもの様に東方司令部に定期報告に来たエドワードが司令室の扉を開けると、そこにはその場に似つかわしくない光景が広がっていた

「痛い。コラ、やめるんだ、あっ!」

ロイの腕に抱かれた赤ん坊が、ロイの髪を引っ張りながら笑っているのを見たエドワードは唖然とする

「え・・・大佐、隠し子いたんだ・・・」

零されたエドワードの呟きに慌ててロイが否定する

「なっ!何を言うんだ君は!君がいるのに私がそんな事をするわけが無いだろう!?」

「でも、大佐タラシだし・・・信じらんねぇ」

現に目の前の赤ん坊の髪は黒色だ。親がロイという可能性は充分にある

「誤解だ、鋼の。この子は今朝司令部の門のところにベビーカーに乗せられて置き去りにされていたのをフュリー曹長が見つけて連れてきたんだ。この紙と一緒にね」

渡された紙には「どうか1日だけこの子を預かってください」と書かれていた

「どこの誰かも分からなくて、でも1日だけと書いてあるから仕方なくここに連れてきたんですが・・・」

フュリーの言葉にそうだったんだ、と納得した様子のエドワード

「でもこの子、私たちが抱くと泣いちゃうのよ」

リザが困ったように笑うと、皆も一様に頷く

「え?でも今は・・・」

「それが何故か大佐にだけは懐いてて・・・ただ、そのせいで大佐の仕事が捗らなくて困ってるの」

ロイの机の上には山の様に積み上げられた書類がたまっていた

「そっか、大変だな」

エドワードは苦笑しながらロイの元に行き、改めて赤ん坊を見る

「この子、何て名前?」

「分からないんだ。何しろ紙にはあれだけしか書かれてなかったからね」

「ふーん。なぁ、ちょっと抱かせて?」

「聞いてなかったのか、鋼の。この子は私以外の人が抱くと泣くんだ」

「うん、聞いた。でも今は大佐が居るんだから別にいいじゃんか」

エドワードはそう言って赤ん坊を抱っこした

「・・・」

皆がエドワードに抱かれた赤ん坊を見ていた


ニコッ


すると赤ん坊は泣くどころかエドワードの腕の中で楽しそうに笑った

「あっ、笑ってる!エドワード君も気に入られたみたいですね」

フュリーがそう言うと周りの人達も口々に騒ぐ

「やっぱ子供は子供のがいいんスかね?」

ハボックの一言にエドワードが切れた

「誰が赤ん坊と変わらないくらいドチビかー!!」

「きゃっ、きゃっ、はう〜」

赤ん坊にはその光景も面白いようで、エドワードに抱かれながら終始笑っている

「この子、俺が見てようか?大佐もなかなか仕事出来ないみたいだし」

「本当?助かるわ、エドワード君」

「いいって、大佐が仕事できないと皆も困るだろ?」

エドワードの申し出に皆もよかった、という表情を浮かべている

「助かったよ、私も流石に少々困っていたのでね。何しろ子供の面倒なんて見たことが無いからどうしていいのか分からないし、今日中の書類もいくつかあったからな」

「ん、別にいいよ。アンタの仕事が終わんないと俺も待たされるんだし」

エドワードがイーストシティに来た日の晩は一緒にご飯を食べてロイの家に泊まるのが常だ

だからロイの仕事が長引けば、それだけエドワードも待たされることになる

それなら自分がこの赤ん坊の面倒を見ていた方がいい





「私は向こうで仕事をしているから、君はここで本でも読んでいてくれ」

「分かった。早く終わらせろよ?」

「ああ、なるべく早めに終わらせるように頑張るよ」

そう言ってロイが執務室を出ようとするのを、エドワードが呼び止めた

「あっ、そうだ、大佐」
 
「何だ?」

「この子何て呼べばいい?名前無いと不便だろ」

「そうだな。どうせ1日だけなんだ、君の呼びやすいように呼びたまえ」

ロイの言葉にエドワードは苦笑する

「んだよ、それ。まぁいっか。んー、じゃあ・・・ナイトは?」

「ナイトか、良いんじやないか」





「エドワード君達は?」

リザが戻って来たロイに聞く

「ああ、仲良くやっているだろう。早速、名前を決めていたよ」

「へえ。大将はあの子供に何て?」

「"ナイト"だそうだ」

「ナイトかぁ、誰かを守れるように強くなれって意味ですかね?かっこいい名前ですね」

フュリーも目を輝かせている

「さて、ナイト君のことはエドワード君に任せて仕事をしましょう」





ガチャッーー・・

「鋼の、遅くなってしまって・・・」

ロイが仕事を終えて執務室に入ると、エドワードはナイトを抱えたまま眠っていた

「全く、これではどっちが子供か分からないな」

眠るエドワードの表情はあどけなく、ロイは思わず頬を緩ませる

「ん・・・大佐?仕事終わったの?」

「ああ、ついさっきね。少し遅くなってしまったが、今からご飯でも食べに行こうか」

「いや、今日は俺が作るよ。流石に赤ん坊連れで店入るのは大変だろ?ついでに必要なもんも買わなきゃだし」

エドワードがナイトを抱え上げて言う

面倒を見るのが例え1日とはいえ、赤ん坊に必要なものは結構ある

「ああ、そうだな」

そうしてエドワードとロイはナイトを連れて司令部を後にした





帰り道にあるスーパーと赤ちゃん用品売場に寄り、夕食の食材や粉ミルク、オムツなどを買って帰るとエドワードは早速夕食作りに取り掛かった

その間はロイがリビングでナイトの子守をしている

キッチンからリビングが見渡せる作りになっているため、エドワードは料理をしながらロイと他愛のない会話をしていたのだが、それまで機嫌よく笑っていたナイトが突然泣き出した

「どうしたんだ!?」

抱きかかえていたロイは急に泣き出したナイトに驚く

「あー、オムツかな?あと腹も減ってんのかも。とりあえず俺はこの子のオムツ替えるから、その間に大佐はミルク人肌に温めといて」

だがエドワードは赤ん坊の様子を見て、慣れたようにテキパキとロイに指示を出す

「あっ、ああ。分かった」

一方のロイはこの状況に慣れないせいか、少しばかり声が上擦ってしまっている

エドワードの見立て通りやはりオムツが汚れていたようで、替えるときにぐずりはしたものの、取り替えが終わるとナイトの機嫌も良くなりすぐに泣き止んだ

「よし、終わった終わった。大佐の方、ミルク出来たかー?」

一段落ついたエドワードがキッチンにいるロイに声を掛けるが、返事が返ってこない

(あれ?大佐・・・?)

ミルクを温めるぐらいなら初心者でも出来るだろうと思って任せたのだが、一向に持ってくる気配がない

何をやっているんだ?とキッチンを覗くとロイが険しい顔をしてミルクとにらめっこをしていた

「大佐、ミルク出来たのかよ?・・・って、熱っ!何考えてんだよ、こんなもん飲ませる気か!?」

哺乳瓶を手に取ると、中に入っていたミルクは明らかに赤ん坊が飲むには熱すぎる

「加減がいまいち分からなくてな・・・」

貸してみろ、とエドワードはロイが持っていたミルクを取り上げる

「・・・うん、これぐらいかな」

エドワードはそう言って人肌温度まで温くしたミルクを手にリビングへと戻った





「美味しそうに飲んでんじゃん」

「そうだな。こうして見ていると、子供もいいものだなと思えるよ」

ロイの何気ない一言にエドワードの表情が翳る

「そう、だよな・・・」

「どうした?鋼の」

何も言わないエドワードにロイがもう一度優しく鋼の、と名前を呼びかける
 
「・・・俺は、さ・・・大佐の事好きだよ?これからもずっと一緒に居たいって思ってる・・・けど、大佐はこの国の頂点目指してて・・・俺は男だから、家庭も築けなきゃ子供も産めない。大佐にとって俺の存在は邪魔なだけなんじゃないかって・・・」

「鋼の!!」

エドワードの言葉を遮るように放たれたロイの声に、思わず肩がビクリとする

「それ以上は、例え君でも許さないよ?」

ロイの声には明らかに怒りが混じっており、エドワードは困惑した表情を浮かべる

「大、佐・・・?」

「確かに私はこの国のトップを目指している。けれど君のことを邪魔だなどと思ったことは一度たりとも無い。私にとって君は何よりも大切な存在だ。今までも、そしてこれからも、だ。だから君を悪く言う者は、例え君自信であっても許さない」

そう告げるロイの瞳は真剣だった

「・・・ごめん」

「分かってくれたならそれでいい。それに君は、私が妻や家庭に頼らなければ出世も出来ない男だと思っているのかね?」

「ぷっ、すげー自信」

いつもの余裕顔に自然と笑いが込み上げる

(こんな俺でも、少しはアンタの役に立ててるのかな・・・)

好きな人と共に生きる、それはとても幸せなことだとエドワードはこの時思った





「あっ、そういえばナイトは・・・あれ?寝てる」

「そうみたいだな」

エドワードに抱かれながらすやすやと眠るナイトの顔を覗き込んで、2人は顔を見合わせて笑う

「寝室に布団を敷いて寝かせておこうか」

「そうだな」





少しして、ナイトを布団に寝かし終えたロイが戻ってきた

「はぁ、これでやっと君とゆっくりできる」

ロイの思わず零れたため息交じりの言葉にエドワードが苦笑する

「アンタさっき子供も良いもんだ、って言ってなかったっけ?」

その言葉にロイは少しふて腐れたようにエドワードを見た

「しかし、ずっと君に抱かれているのは気に食わない」

君を独り占めされてるようで、と続けたロイにエドワードが思わず吹き出す

「何、大佐もしかしてヤキモチ妬いてんの?これじゃどっちが子供か分かんねぇな」

先刻司令部にいた時、エドワードに対し思ったことと同じことを言われたロイは思わずムッとした表情になる

エドワードはそんなロイの表情を見て宥めるように頭を撫でた

「そんな拗ねるなって、な?」

「あまり大人をからかってはいけないよ?エドワード」

言い終えるのと同時にエドワードは押し倒され、深い口付けを強いられる羽目となった

「やっ・・・ん・・・別にからかってなんか・・・っ・・・ふっ」

口付けだけで息も荒くなっているエドワードとは対象的に、ロイは器用にエドワードの服を脱がしていく

「ふっ・・・あん・・・大佐っ・・・だめっ・・・ナイトが起きちゃ・・・んっ・・・」

「だったら静かにしていれば良いだろう?」

口ではそういうものの、ロイの手はエドワードの蕾をこじ開けてぐちゅぐちゅと激しくエドワードを追い詰める

「そ・・・んな・・・っムリ・・・あん・・・やっ・・・」

すでにエドワードのモノは固くなっており、与えられる刺激にさらに声が漏れる

「そんなに声を出すと起こしてしまうよ?」

「だっ、て・・・あっ・・・ひぅ・・・やっ、だめ・・・あああぁん!!」

ロイの指先がゴリッと前立腺を掠め、思わず大きな声が出てしまった

エドワードは慌てて手で口を塞ぐが、もう遅かった

隣の部屋からナイトの泣き声が聞こえてくる

ロイは軽く舌打ちすると、エドワードの中から指を抜く

「え・・・大佐?」

立ち上がり隣の部屋へ向かおうとするロイにエドワードは縋るような眼差しを向ける

「あのままにはしておけんだろう」

それは本当だったが、ロイにはもう一つ下心があった

エドワードをお預け状態にして乱れた姿を見たい、という下心が・・・

(え、マジで行くのかよ・・・)

ロイの手によって極限まで昂らせられた自身は開放を待ち望みふるふると震えている

そんな状態で一人残されたエドワードは、達することもままならず、立ち去ったロイに対し内心で毒づく

(大佐の馬鹿!こんな状態で放っとかれるこっちの身にもなれってんだ!散々人のこと煽っておいて・・・早く戻ってこいバカ大佐)

知らず知らずのうちに涙が滲む

「エドワード、待たせた・・・」

少しして帰ってきたロイにエドワードは罵声を浴びせる

「大佐のバカ!アホ!無能っ!」

だがロイはエドワードの顔を見た途端、その身体をきつく抱きしめた
 
「すまなかった、エドワード。少し大人げ無かったな、君に意地悪をした。頼むからもう泣かないでくれ」

ロイに抱きしめられ少しだけ落ち着いたエドワードは照れくさそうにボソリと呟いた

「そんなことだろうと思った・・・」

「お詫びに今日はうんと甘やかそうではないか」

ニコリとロイが微笑むがその笑顔が逆に胡散臭い

「お手柔らかに頼むわ」

「そう遠慮しなくても」

「遠慮じゃねぇ!」

そんなやり取りが終わると、ロイは再びエドワードの中に指を入れて抽挿を繰り返したり内壁をやわやわと押したりした

その動きに一旦萎えかけていたエドワードのモノがまた上を向く

「そろそろ挿れても?」

「ああ・・・大佐が、欲しい」

エドワードの返事にロイは嬉しそうに微笑むとエドワードの中に自身を宛てがいゆっくり腰を進める

「あ、・・・大佐・・・ん・・・っ・・・!」

入ってきた質量に思わず息を詰めるエドワードだったが、ロイが腰を振るとその口からは次第に感じ入った様な喘ぎ声が漏れ始めた

「気持ちいいかい?エドワード・・・」

「あ、・・・ん・・・」

ロイの質問に答える代わりに自ら口付けをする

「っ、・・・はっ、・・・ああん・・・」

抽挿が激しくなるにつれ、エドワードの呼吸も段々と荒くなる

「ふぁ・・・んっ・・・大佐、・・・好きっ・・・ああん」

「私もだよ、エドワード。君を愛している」





いくら大佐とこうして繋がったって、俺には子供も産めないし、家庭を作ることも出来ない

いつか俺のせいで大佐の足を引っ張っちまうかもしれない

でも、それでも大佐が俺を必要としてくれるなら、


俺は、ずっと


  大佐と共にありたいーー・・





fin.



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