鋼の錬金術師(ロイ×エド)
君がいるだけで

「こんちわー…」


いつもの様に東方司令部に定期報告に来たエドワードが司令室の扉を開けると、そこにはその場に似つかわしくない光景が広がっていた


「痛い。コラ、やめるんだ、あっ!」


ロイの腕に抱かれた赤ん坊が、ロイの髪を引っ張りながら笑っているのを見たエドワードは唖然とする


「大佐、隠し子いたんだ…」


「なっ!何を言うんだ君は!君がいるのに私がそんな事をするわけが無いだろう!?」


エドワードの言葉にロイは慌てる
 
 
「でも、大佐タラシだし…信じらんねぇ」


現に目の前の赤ん坊の髪は黒色だ。親がロイという可能性は充分にある


「誤解だ、鋼の。この子は今朝司令部の門のところにベビーカーに乗せられて置き去りにされていたのをフュリー曹長が見つけて連れてきたんだ。この紙と一緒にね」


渡された紙には「どうか1日だけこの子を預かってください」と書かれていた


「どこの誰かも分からなくて、でも1日だけと書いてあるから仕方なくここに連れてきたんですが…」


フュリーの言葉にそうだったんだ、と納得した様子のエドワード
 
 
「でもこの子、私たちが抱くと泣いちゃうのよ」


リザが困ったように笑うと、皆も一様に頷く


「え?でも今は…」


「それが何故か大佐にだけは懐いてて…ただ、そのせいで大佐の仕事がはかどらなくて困ってるの」


ロイの机の上には山の様に積み上げられた書類がたまっていた


「そっか、大変だな」


エドワードは苦笑しながらロイの元に行き、改めて赤ん坊を見る


「この子、何て名前?」


「分からないんだ。何しろ紙にはあれだけしか書かれてなかったからね」


「ふーん。なぁ、ちょっと抱かせて?」


「聞いてなかったのか、鋼の。この子は私以外の人が抱くと泣くんだ」


「うん、聞いた。でも今は大佐が居るんだから別にいいじゃんか」


エドワードはそう言って赤ん坊を抱っこした


「…」


皆がエドワードに抱かれた赤ん坊を見ていた


ニコッ


すると赤ん坊は泣くどころかエドワードの腕の中で楽しそうに笑った


「あっ、笑ってる!エドワード君も気に入られたみたいですね」


フュリーがそう言うと周りの人達も口々に騒ぐ


「やっぱ子供は子供のがいいんスかね?」


ハボックの一言にエドワードが切れた


「誰が赤ん坊と変わらないくらいドチビかー!!」
 
 
「きゃっ、きゃっ、はう〜」


赤ん坊にはその光景も面白いようで、エドワードに抱かれながら終始笑っている


「この子、俺が見てようか?大佐もなかなか仕事できないみたいだし」


「本当?助かるわ、エドワード君」


「いいって、大佐が仕事できないと皆も困るだろ?」


エドワードの申し出に皆もよかった、という表情を浮かべている


「助かったよ、私も流石に少々困っていたのでね。何しろ子供の面倒なんて見たことが無いからどうしていいのか分からないし、今日中の書類もいくつかあったからな」


「ん、別にいいよ。アンタの仕事が終わんないと俺も待たされるんだし」


エドワードがイーストシティに来た日の晩は一緒にご飯を食べてロイの家に泊まるのが常だ


だからロイの仕事が長引けば、それだけエドワードも待たされることになる


それなら自分がこの赤ん坊の面倒を見ていた方がいいと思えた
 
 





「私は向こうで仕事をしているから、君はここで本でも読んでいてくれ」


「分かった。早く終わらせろよ?」


「ああ、なるべく早めに終わらせるように頑張るよ」


そう言ってロイが執務室を出ようとするのを、エドワードが呼び止めた


「あっ、そうだ、大佐」
 
 
「何だ?」


「この子何て呼べばいい?名前無いと不便だろ」


「そうだな。どうせ1日だけなんだ、君の呼びやすいように呼びたまえ」


ロイの言葉にエドワードは苦笑する


「んだよ、それ。まぁいっか。んー、じゃあ…ナイトは?」


「ナイト、か。いいんじやないか」
 
 





「エドワード君たちは?」


リザが戻って来たロイに聞く


「ああ、仲良くやっているだろう。早速、名前を決めていたよ」


「へえ。大将はあの子供に何て?」


「“ナイト”だそうだ」


「ナイトかぁ、かっこいい名前ですね」


フュリーも目を輝かせている


「さて、ナイト君のことはエドワード君に任せて仕事をしましょう」
 
 





ガチャッ――‥


「鋼の、遅くなって…」


ロイが仕事を終えて執務室に入ると、エドワードはナイトを抱えたまま眠っていた


「全く、これではどっちが子供か分からないな」


眠るエドワードの表情はあどけなく、ロイは思わず頬を緩ませる


「ん…大佐?仕事終わったの?」


「ああ、ついさっきね。少し遅くなってしまったが、今からご飯でも食べていこうか」


「ついでに買い物も、な?」


エドワードがナイトを抱え上げて言う


「ああ、そうだな」


それにロイも微笑む


そして2人は司令部を後にした
 
 





夕食を済ませたエドワードとロイは、粉ミルクやオムツなどを買って帰った


今度はロイがナイトを抱きながら、リビングでエドワードと話していると突然ナイトが泣き出した


「どうしたんだ!?」


「あー、オムツかな?あと腹も減ってんのかも。大佐はミルク人肌に温めといて、俺はその間にオムツ替えるから」


「あっ、ああ、分かった」


慣れないせいか、ロイは少し慌てている


「よし、終わった終わった。大佐の方出来たかー?」


エドワードがキッチンにいるロイに声を掛けるが、返事が無い


「大佐、ミルク出来たのかよ?…熱っ!何考えてんだよ、こんなもん飲ませる気か!?」


「加減がいまいち分からなくてな…」


貸してみろ、とエドワードはロイが持っていたミルクを取り上げる


「…うん、これぐらいかな」







「美味しそうに飲んでんじゃん」


「そうだな。こうして見ていると、子供もいいものだなと思えるよ」


「そう…だよな、」


急にエドワードの表情が陰る


「どうした?鋼の」


聞いても答えようとしないエドワードに、ロイがもう一度優しく問い掛ける
 
 
「俺はアンタの事、好きだよ?これからもずっと一緒に居たいって思ってる…。けど、アンタはこの国の頂点目指してて…俺は男だから、家庭も築けなきゃ子供も産めない。アンタにとって、俺の存在は邪魔なだけ…」


「鋼の!!」


ロイの怒鳴り声が響いた


「それ以上は、例え君でも許さないよ?」


ロイの声は明らかに怒っていた


「大、佐…?」

エドワードはその理由が分からず困惑する
 
 
「確かに私はこの国のトップを目指している。けれど君のことを邪魔だなどと思ったことは一度たりとも無い。私にとって君は何よりも大切な存在だ。今までも、そしてこれからも、だ。だから君を悪く言う者は、例え君自信であっても許さない」


ロイの瞳は真剣だった


「…ごめん」


「分かってくれたならそれでいい。それに君は、私が妻や家庭に頼らなければ出世出来ない男だとでも思っているのかね?」


「ぷっ、すげー自信」

(こんな俺でも、少しはアンタの役に立ててるのかな…)
 
 





「あっ、そういえばナイトは………寝てる」


「そうみたいだな」


ナイトをベッドに寝かせ、戻って来たロイが言う


「これでやっと、君とゆっくりできる」


「アンタさっき子供も良いもんだ、って言ってなかったっけ?」


エドワードの言葉にロイが少しふて腐れたように呟く
 
 
「しかし、ずっと君に抱かれているのは気に食わない」


君を独り占めされてるようで、と続けたロイにエドワードが思わず吹き出す


「何アンタ、もしかしてやきもち?これじゃどっちが子供か分かんねぇな」


先刻エドワードに対し思ったことと同じことを言われ、ロイはムッとした表情になる


エドワードはそんなロイの表情を見て宥めるように頭を撫でた


「そんな拗ねるなって、な?」


「あまり大人をからかってはいけないよ?エドワード」


言い終えるのと同時にエドワードは押し倒され、深い口付けを強いられる羽目となった


「やっ…ん…別にからかってなんか…っ…ふっ」


口付けだけで息も荒くなっているエドワードとは対象的に、ロイは器用にエドワードの服を脱がしていく


「ふっ…あん…大佐っ…だめっ…ナイトが起きちゃ…んっ…」


「だったら静かにしていれば良いだろう?」


「そ…んな…っムリ…あん…やっ…」


すでにエドワードのモノは固くなっており、与えられる刺激にさらに声が漏れる


「そんなに声を出すと起こしてしまうよ?」


「だって…ああああん――‥」


ロイの指が前立腺を掠め、思わず大きな声が出てしまった
 
 
エドワードは慌てて手で口を塞ぐが、もう遅かった


隣の部屋からナイトの泣き声が聞こえてくる


ロイは軽く舌打ちすると、エドワードの中から指を抜く


「え…大佐?」


急に踵を返し、隣の部屋へ向かうロイにエドワードは縋るような眼差しを向ける


「あのままにはしておけんだろう」
 
 





一人残されたエドワードは、達することもままならず、ロイに対し内心で毒づく


(大佐のバカ。…こんな状態で放っとかれるこっちの身にもなれってんだ!散々人のこと煽っておいて…早く戻ってこいバカ大佐)


知らず知らずのうちに涙が零れた


「エドワード、待たせた…」


「大佐のバカ!アホ!無能っ!」


ロイはエドワードの顔を見た途端、きつく抱きしめた
 
 
「すまなかった、エドワード。少し大人げ無かったな、君に意地悪をした。頼むからもう泣かないでくれ」







ロイが再びエドワードの中に指を入れると、一旦萎えかけていたエドワードのモノがまた上を向いた


それと同時にエドワードの呼吸も荒くなる


「ふぁ…んっ…大佐、…好きっ…ああん」


「私もだよ、エドワード。君を愛している」
 
 
いくらアンタとこうして繋がったって、俺には子供も産めないし、アンタと家庭を作ることも出来ない


いつか俺のせいでアンタの足を引っ張っちまうかもしれない


でも、それでもアンタが俺を必要としてくれるなら、





俺は、ずっと



  大佐と共にありたい――‥







            fin.





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