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蛇足

楓は考えていた。
入学2日目にして通学路のド真ん中で盛大に胃の中のモノを嘔吐しながら、ぼんやりと考えていた。

“自分はどうしてこの高校に来てしまったのか――”と。


話は数ヶ月前の高校入試にまで遡る。


入試当日。
楓は受験会場へ向かうバスの中、特にやる事もなく窓から流れる風景をただボンヤリと眺めていた。

バスには楓と同様、高校受験を控えた中学生で溢れかえっている。

友人と来ている者。

一人で来ている者。

緊張の余り顔色が真っ青になっている者。

参考書を読んでいる者。

バスの中には様々な学校の制服に身を包んだ学生達が様々な面持ちでバスの中にいた。

楓が受験する“紀伊国屋高校”は地元でも……いや、全国でも有数の進学校であった。

――合格確実。
教師の言葉も、そして模試の結果でも大体そんな所だった。
その為、楓は全くもって緊張しておらず、それどころか暖房の効いた揺れるバスの中で心地良さすら感じていた。
―そう、睡魔という甘美な心地良さから楓は知らぬ間に意識を手放していた。





どれくらい経っただろうか。
楓はボーッとした頭でバスの外に目をやった。
そして、そこには今までとは全く違う風景が広がっていた。
その瞬間、楓は自分の置かれた状況を的確に理解しのだった。
その状況を一言で端的に表すならば…………

―――お……、降り過ごした……!!

…………であった。

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あきゅろす。
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