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蛇足

そんなよしおの様子を楓はぽかんとした表情で見つめていた。

「もしかして……よしお君も一緒にカレー作ってくれるの?」

そう楓が目を丸くして尋ねると、よしおはサッと楓から目を逸らした。

「……んだよ。ワリィかよ」

「悪くないよ。でも今面倒だって……」

「うっせーな!俺が作るっつったら作んだよ!」

突然の怒鳴り声に楓はびくりと体を震わせる。

そんな楓の様子によしおは一瞬ハッとした表情を浮かべると バツの悪そうな顔をした。

「この時間……家庭科なんだろ。だったら……まぁカレー作んのは…普通なんじゃね?つーか真面目なのは悪い事じゃねぇっつーか……」

よしおは楓と目を合わせず、たどたどしく話を続ける。

そんな一生懸命なよしおの様子に楓はハッとした。


もしかしてよしお君、さっき言った事気にしてるんじゃないだろうか。

真面目って

考えらんねーって

そう言われて、俺が微妙な顔したから……

気にしてくれているんじゃないのかな?

………有り得る。

妙な所で律儀なよしお君の事だ。

絶対そうだ。

本当によしお君は


「良いやつだなぁ」

「は?」


突然の楓の言葉に、よしおは意味がわからないといった表情を浮かべた。

そんなよしおに楓は苦笑を漏らすと、笑顔でよしおを見上げた。

「なんでもないよ。……ありがとう、よしお君」

突然の楓の笑顔と『ありがとう』の言葉に、よしおは始めはぼんやりと楓を見つめていたが、みるみるうちに顔を真っ赤に染め上げていった。

「いきなり意味わかんねー事言うなっ!馬鹿か!?」

「馬鹿って……ただ俺はよしお君てやっぱり良い奴だなぁと「思うな!」

顔を真っ赤にしながら怒鳴るよしおに、楓は小さく笑うと、再度袋の中をのぞき込んだ。

「テメェはいつもいつも……おい!聞いてんのか?!」

「聞いてるよ。じゃあ、はいこれ」

楓は袋から中辛のルーを取り出すと、真っ赤な顔で楓を睨みつけているよしおへと突き出した。

「ごめん、辛口はないみたい。よしお君、中辛で我慢してね」

「……おぅ」

楓の言葉に大人しくルーを受け取ったよしおは顔を赤くしたまま、呟くように返事をした。

「じゃあ、行こっか。家庭科室」

楓が笑顔のまま材料を抱え、よしおを見上げると、今の今まで真っ赤に顔を染めていたよしおの顔が急激に真っ青になっていた。

「どうしたの?よし「かーえーでー!!」

ガツッ

その瞬間楓は背中に強い衝撃を感じ、その勢いで教壇の上に頭を打ちつけた。



あぁ、そう言う事ね

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