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蛇足
二人でカレー制作
本当にそうだ。

入学した頃と比べれば自分は随分図太くなったと思う。


周りの不良達の言動にも驚かなくなったし

授業中に突然開始される乱闘騒ぎも今では軽く流せるまでになった。

あと学校の適当な運営にも。

授業なんて存在しない

学生の本分は一体何なのかと問いたくなる気持ちも、とうの昔に消え失せてしまった。



全ては時間がそうさせた。


今までとは180度違う世界で生活を送るようになっても、それが“生活”になれば、それはもう日常でしかなくなる。

だが。


だが、いくら体が馴染もうと生活に慣れようと楓にはいつも心のどこかに違和感を感じていた。

今までの15年間で身に付いた楓の生活の根幹は、やはり2ヶ月やそこらで変えられるものではないらしい。


だから俺、クラスから浮いちゃってんだろうなぁ。


楓はガサガサと袋の中身を漁ると、自分に必要な食材だけ手元に取り出しながら、ぼんやりと考えた。


「まぁ、別に…いいけどね」

楓はそう小さく呟いて取り出した食材を腕に抱え顔を上げた時

「何やってんだ?お前」

楓が顔を上げたその先には、いつもの不機嫌そうな顔でこちらを見つめるよしおの姿があった。


「よしお君」

「おぅ」

「さっきまで寝てたよね?どうしたの?もしかして俺、起こしちゃった?」

「いや、別に……ただなんとなく目が覚めただけだ」

よしおはぶっきらぼうに答えると、楓の手に抱えられた食材に目を落とした。

「お前……まじで何やってんだ?」

「あぁ、これ?カレー作ろうと思って…ほら、今家庭科の時間だし」

楓がカレーのルーをよしおに見せながら言うと、よしおは呆れたように楓を見下ろしてきた。

「お前……よく真面目にそんなんやってられんな。マジ考えらんね」


真面目……っていうのか?これは。


よしおの言葉に楓は 少し眉を落とすと微妙な表情で「そうかな」と答えた。

そんな俯きかげんの楓の表情を、よしおは眉をひそめて見つめた。


やっぱこの学校じゃ……俺がおかしいんだろうな。


楓が微妙な気持ちで手に持ったカレーを見つめていると、突然楓の手からカレーの箱が取り上げられた。

「ちっ、これ甘口じゃねぇか……辛口はねぇのかよ」

「へ?」

「辛口だよ辛口。んな甘いもん食えるか」


食うって……よしお君まさか


「作んだろ?カレー」

「う、うん」

「だったら辛口だ。ほら、持ってるやつ半分貸せ」

よしおはそう言うと楓の抱えている食材をさっさと自分の腕の中へと抱えて始めた。

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あきゅろす。
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