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蛇足

「大丈夫かよ池ちゃん!!?」

「はぁはぁ……ひ……彦坊……ちょっと聞け」

蛭池はむせかえったイチゴミルクを手で拭いながら彦星を見た。

彦星の目は蛭池を心配そうに見つめているが、蛭池には今後の楓の貞操の方が余程心配だった。

なんと言っても目の前に居るこの男は、会ったその日にお持ち帰りという獣のような男なのだ。

このまま彦星を突っ走しらせたら、楓は確実に彦星美味しく戴かれてしまう。

そしてそうなった場合楓は確実に彦星から離れていくだろう。

拒絶された後の彦星がどうなるかなんて想像もつかないが、確実に被害を被るのは周りだ。

そんな事になっては蛭池ですら彦星の暴走を止められるかわからない。

それに蛭池としても、幼なじみの初恋。

それを余り辛い思い出にしてやるのは、どうも気が引ける。

初恋は実らないというが、どうせなら実らせてやりたい。

それが彦星と長年一緒に居る、蛭池の本心だった。

「彦坊……楓にんなこたぁ絶対言うなよ」

「何でだよ!いーじゃん!オレ今までもそーやってきたぞ!」

……今までもそれでお持ち帰りできてたのか。

蛭池はやれやれと頭を抱えた。
確かに彦星は顔も良く、性格は馬鹿だが人懐っこいため女には昔からかなりモテていた。

そんな彦星の選り取り見取りハーレム状態の生い立ちが、今ここに来て大きな弊害となって現れている。

というか一人でも彦星の誘いを断って憤慨してくれるような女が居れば、彦星もこんなぶっ飛んだ常識を自分の中で作り上げる事もなかったのだ。

「(………周りの女も少しは慎め…)」

蛭池は今まで彦星に易々とお持ち帰りを許した女達に、うんざりするしかなかった。

「なぁ!何でオレ、楓に頼んじゃいけねーんだよ!?」

「何でって彦坊、いきなり今まで友達だと思ってた奴にエッチしてくれなんて頼まれたら、相手は確実に引くだろうが」

「楓…オレに引く?」

「あぁ、どん引きだ。下手すっと嫌われるぞ」


嫌われる

その言葉に彦星は一瞬にしてその表情を泣きそうに歪めた。

「……それは絶対だめ」

「だろ?彦坊、楓を今までの女達と同じように考えてっと絶対痛い目見るから気をつけろよ」

「うん、わかった。オレ楓にいたいめあわされないよーに気をつける」

イマイチ理解しているのかしていないのかわからない彦星に、蛭池はフウと一息つくと彦星の方に向き直った。


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あきゅろす。
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