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蛇足

「なぁなぁなぁ!結果は!?心理テストの結果!!」

そう言って蛭池に詰め寄る彦星に蛭池は、ボソリと呟いた。

「彦坊。お前が付き合ったらヤるっつったエッチだが……実はそれは男と女でやるだけのもんじゃねぇんだ」

「…………へ?!」

蛭池の突然の言葉に彦星は大きな目を更に大きくして蛭池を見つめた。

「………マジで?!え?!すげー!そのテスト結果マジスゲー!オレの答えでそんなんわかるなんてマジスゲー!」

「……………」

ひたすらスゲーと騒ぐ彦星を蛭池は遠い目で見つめた。

「じゃあさじゃあさ!男と女だけじゃなかったら他に誰が誰とすんの?!」

動物か!
そう驚いて叫ぶ彦星に蛭池は少し強めに彦星の頭を叩いた。

「なにすんだよー!池ちゃん!」

そう不満げに蛭池を見上げる彦星に、蛭池は更にポンポンと頭を叩く。

「今の考えは頭から消滅させろ、彦坊」

蛭池の何やら必死な様子に彦星は渋々「わかった……」と呟いた。

「話を戻すとだな、彦坊。エッチすんのは男と女だけじゃねぇ。男同士でも立派にできんだ。知ってたか?」

「男同士……知らんかった!!池ちゃんそれマジ?!」

「マジだ」

蛭池がそう言うと彦星は不思議そうに蛭池を見つめる。

「何で男同士でエッチすんの?」

「それはな、男同士でも恋してしまう場合があるからだ」

蛭池の言葉に彦星は息を呑んだ。
自分でもよくわからないが、彦星はこの時自分でも理解できない程の衝撃を体中に感じていた。

「………そうなんだ」

「気持ちわりぃか」

蛭池が問うと彦星は勢いよく頭を横に振った。

「んーん!全然!!」

「そうか……なら「池ちゃん!!」


どうした、彦坊」

蛭池は自分の言葉を遮り、必死な様子でこちらを見てくる彦星をサングラスの奥から面白がるように見つめた。

「男同士ってどうやってヤんの?!」

「それを聞いて……彦坊はどうするつもりなんだ?」

蛭池の言葉に彦星はピクリと眉を動かした。

そういえば、自分は何でそんな事が知りたいのだろうか。

彦星は黙って蛭池を見たまま動く事ができなかった。

そんな彦星の姿に蛭池は核心を突く事を決めた。

彦星が本能で自分の気持ちに気付き始めた今なら

彦星も気づく筈だ。

隠れていた自らの気持ちに。


「彦坊、お前……楓とそういう事がしたいんじゃねぇのか?」

「え……えー。池ちゃん何言ってるんだよー………オレと楓は大親友で……えぇと……だから……」

最後の方は尻窄まりになりながらゴチャゴチャ言っていた彦星だったが、突然情けない顔を蛭池に向けると困ったように叫んだ。

「どうしよう……池ちゃん……オレ楓とエッチしたいとか思った」

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