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蛇足

「殺してやりたい」


小さく、だがしっかりと彦星の口から呟かれた言葉は酷く現実離れしていた。

しかし彦星は正直だ。

多分これは……


「(マジだな)」

蛭池はどうしたものかと頭を掻いた。

この彦星の勢いなら本当に殺りかねない。

それは非常にまずい。

蛭池がそう思っていると、彦星は先程までの冷たい目をスッと普段の目に戻し「でもなぁー」と呟いた。

「楓の友達はオレの友達だしなー!友達は殺せない」


その瞬間

蛭池は言葉を失った。

彦星は純粋が故に、今まで何の躊躇いもなく気に入らない奴は全てその拳で葬り去ってきた。

その彦星がそんな事を言うとは、蛭池は驚かずにはおれなかった。

しかし、次に彦星が言った言葉で蛭池は全て納得した。

「楓がさー、オレと楓は大親友なんだから、よしおとオレも友達だろーって。でも大親友はオレと池ちゃんだけだって!」

「(なる程な……巧いこと言いやがんぜ。楓のやつ)」

蛭池は嬉しそうな顔をする彦星を前に楓の口の上手さに感心した。

これでは彦星もよしおには手が出せない。

「けどやっぱ楓にはスッゲームカつく!オレ変なのかなー?池ちゃん」

「いや、変な事なんて一つもねぇよ。彦坊」

「オレ、へんじゃない?!大親友なのにムカついてんのって変じゃねーの?!」

「変じゃねぇ……ただ彦坊……」


やはり


覚悟を決めて確かめておく必要があるようだ。

蛭池は決心した。

自分の幼なじみが

男を好きであるのかどうかという事を。


「ちょっと質問があんだがよ……答えられるか?」


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あきゅろす。
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