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蛇足

無言。

無言。

無言。

ひたすら無言の帰り道。

楓はよしおに誘われて帰りを共にしていたが、それは一緒に帰っているというより隣を歩いているといった表現の方が似合っていた。

彦星と一緒に帰っている時は必要以上にうるさくて疲れるが、これもこれで疲れる。

というかよしおは自分に用事があったのではないのだろうか。

そもそもよしおの家はこっちでいいのか。

自然と玉泉院への帰り道を歩いている楓は落ち着かない気分で隣に居るよしおをちらりと見上げた。


「今日は一緒じゃないのか?」

「へ?!」

突然話しかけられて楓は思わず変な声を上げてしまった。

「だから……今日はあいつは一緒じゃねぇんだなっつったんだよ!」

「あいつって……彦星の事?」

「あぁ」

彦星の名前を出すとによしおは途端に苦々しい顔になった。

まぁ、あんなバイオレンス馬鹿に目を付けられたんだ。

当然と言えば当然だろう。

「彦星なら今日はバイトで先に帰ったよ」

だから安心しな。

そんなニュアンスを含んで答えると、よしおはホッとしたような表情になった。


可哀想に。
見た目は明らかにキミの方が怖いのにな ……

「そうなのか」

「まぁ、バイトが入ったのはいきなりだったみたいだけどね。………それよりさ」

「んだよ」

「俺に何か用事があったんじゃないの?わざわざ待ってくれてたみたいだし」

思いきってよしおに尋ねてみると、よしおは眉間にシワをよせて楓を見下ろしてきた。

怖い。

怖いぞ、よしお君。

多分端から見たら、俺は不良に絡まれる可哀想な学生なんだろうな。

しかし俺にはわかっていた。

その表情が怒っているものではなく、彼がただ困っているだけだという事を。

まぁ、ハッキリ言って怖いのには変わりないが。

「あの……さ。こないだの事なんだけどよ」


――こないだ。

多分それはよしお達が楓をパシリにしようとした時の事だろう。

「うん?こないだのがどうしたの?」


その事に関してはよしおからはキチンと謝罪を受けた筈だ。

今更どうしたというのだろうか。

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あきゅろす。
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