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蛇足
彼はイチゴミルク
――俺の中で彼の存在は“無”だったんだ。

彼を入れる空きフォルダなど俺の中では到底用意できるようなモノじゃなかったから。

それでも普通に生活できたから、俺自身も気にしてなかった。

だけど今日ハッキリした。彼はきっとアレだ。
アレに違いない。

うん、これから俺の中で彼は――………











その日はいつもと変わらぬ普通の日だった。

ただ、楓は昼休みにちょっとコンビニに行って突然食べたくなったえびせんを買いに席を立っただけだった。

楓がバックから財布を取り出し、さぁ出発だとドアに手をかけた時だ。

「あー!楓どこ行くんだよー!」

今まで熟睡どころか寝言を言う程爆睡していた彦星が突然目を覚まし大声で楓を呼び止めてきた。

「彦星、声のボリューム落とそうよ。みんな授業そっちのけで寝てて、まだ眠いんだから。」

楓がそう言って教室を見渡すと、彦星の大声でさっきまで授業を寝て過ごしていたクラスの大半が起きてしまっていた。


「みんな!ゴメン!」

「だから、ボリューム落とせって!まったく……」

「なー、楓!今からドコ行くんだよ?!」

うるさっ。
コイツまったく学習してねー!
まぁ、仕方ないか……。彦星だし…。

「コンビニにちょっと行ってこよーかと思って。」

「んー、じゃ俺も行く!」

「……彦星、なんか欲しい物があるんならついでだし、俺買っくてるけど。」

「欲しーもんはねーけど楓についてく!」

「は?!何で?!」

うるさいから教室に要ろよ!

お前のうるささは公害なんだよ!

店の人の迷惑になるだろ!


「いーじゃねぇか。彦坊は楓と買い物に行きてぇんだよ。な?彦坊」

突然蛭池登場。

そして、彦星の頭をぼふぼふ叩きながら楓の方を見てニヤリと笑った。

「あ!池ちゃん!そーだよ!俺は楓とコンビニに行きたいだけだ!」

「………蛭池君、何か買ってきて欲しいわけ?」

楓は溜め息をつく。

蛭池は用事がなければ、普段はあまり学校で楓に話かけてくることはないのだ。

しかも、授業もそっちのけで行っていた彼女とのメールのやりとりをワザワザ中断してまで人に話かけるなんて、まずありえない。

しかし、それがこの学校の連中に言わせれば凄く渋くて良いらしい。

回りの連中はメールの相手が彼女だとは知らないからそんな事が言えるのかもしれないが……。

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