蛇足
平和
「おい、彦坊。そろそろマジで楓を離してやらねぇと……死ぬぞ、楓」
「ん?あー、楓がぐったりしてる!!またつわりかもしんねぇ!!どうしよう池ちゃん!!」
「つわりか、そりゃあ本当にどうしようだな」
彦星はぐったりした楓をガクンがくんと揺さぶると、泣きそうな目で蛭池で蛭池を見た。
「……保健室にでも寝かせとけば治るだろ」
「わかった!!」
彦星はそう言うや否や、意識を朦朧とさせる楓を担ぐと一気に教室から出て行った。
その後、楓は保健室と言う、この学園で一番荒れ果てた場所で目を覚まし、ベットの隣でグースカと眠る彦星と、空になった弁当箱を目撃する。
奇麗に中身の無くなった弁当箱に、楓は小さく微笑んだ。
明日は何を作ろうか、
そんなほっこりした気持ちを抱えながら。
だが、楓は知らない。
その日を境に弁当など作る余裕もなくなってしまう事になろうとは。
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