蛇足
4
「あぁぁ!!もう!お前らのせーで昼休み終わったじゃん!!マジでさいあく!!楓とご飯と途中だったのに!!あぁぁぁもうぅ!!」
「は?かえで?だからかえでって……?」
「もうお前死ねよ!!ばーかばーか!!もうオレ帰るかんな!?」
「お、おいっ!!待て堀田彦星!!」
男は慌てて彦星に手を伸ばすが、彦星はそれを容赦なく無視すると破壊された机を飛び越えて勢いよく教室から飛び出して行った。
悲しいかな、何も掴む事の出来なかった男の手は、しばらくの間所在な下げに空を彷徨っていた。
茫然と、ただ走り去って行く彦星の背中を見送ることしかできなかった男は、ただ耳の奥に残るある言葉をポロリと口からこぼした。
「かえでって……何だ?」
その疑問に答える事のできる人物は、もうそこには一人として居なかった。
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