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蛇足
彦星編
不良達は予想外の反応にしばらく返事が出来ずに居た。

今まで様々な人間をパシってきたが、楓のような反応は初めてであった。


「………?お腹すいたんだよね?何がいいか早く言ってよ。それとも俺が適当に選んで来た方がいいかな?」


逆に楓は入学前に様々な事態を脳内でシュミレーション済みだったせいか、かなり落ち着いていた。

というか、落ち着き過ぎて不自然だった。



「え…と、オレはじゃあ……」

やっと不良共のうちの一人が口を開いたその時だった。

「おーい!楓楓!!!いーもん拾った!」

彦星登場。



楓にとってはパシリより暴力より、彦星の存在が一番予想外で落ち着かなかった。


「彦星……落ち着いてよ。凄くウルサイから。」

「だってさ!トイレにエロ本落ちてたからさ!楓にやろーと思って!ホラ!」

「いーよ!いらないから!!しかもトイレとか汚いだろ!捨ててこい!それかもと在った場所に戻してきなさい!」

「もったいねーじゃん!お前引っ越しでかーちゃんにエロ本捨てられたんだろ?!貰っとけよ!オレいっぱい持ってるから気にすんな!」

「いや!いらないから!ってか俺いつエロ本母親に捨てられたって言ったっけ?!言ってないよな?!勝手に人の話捏造すんなよ!」

「ネツゾー?ネツゾーってなんだよ!」

「ーーーーーっ!だからさ!言いたい事はそこじゃなくて!」




そんな二人の様子を今まで呆然と見ていた不良の一人(不良A)が、突然の彦星の乱入にやっと我に返る。

「ウルセェ!お前らオレらを馬鹿にしてんのか!」

不良Aのこの叫びに周りの不良B、C、Dも一斉に我に返り叫び出す。

「優等生よぉ、まさかオレらを馬鹿にしてんじゃねーだろーなぁ?あ゛ぁ?」

「ぶっ殺すぞテメーら!」

「おい、そこの馬鹿!そのエロ本置いてオメーは消えろや!」

エロ本はいるのかよ?!

楓が内心不良の一人にツッコミをいれた時にもう遅かった。

そこには血気盛んで喧嘩上等なお年頃の若者達が青筋を立てて立っていた。


ヤバイ…。
話せば分かってくれるよーな精神状態じゃなくなっていらっしゃるんじゃ……どうし「楓!コイツら何?」

「え……?」

楓の隣から聞こえてきた声は確かに彦星のものだった。

しかし、いつもより何オクターブが声が低く感じるのは気のせいだろうか。

「ねぇ、コイツら楓の友達?」

いや、やはり気のせいではないようだ。

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