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蛇足
パシリ編
俺、三木楓の日課。
その@
俺の前の部屋の住人を起こす。


「彦星ー、そろそろ起きろー。」


「ぅいー。」



俺、三木楓の日課。
そのA
俺の右隣の住人を起こす。


「蛭池くーん。起きましょー。」


「んぁ。朝か……」



俺、三木楓の日課。
そのB
おばあちゃんの朝食の準備を手伝う。

「じゃあ、かえちゃんはコッチの鍋を見てておくれねぇ。」

「わぁ、今日の味噌汁オクラがはいってる。おいしそうだ。」

「かえちゃんが好きっていーよったからねぇ。」

「……おばあちゃん、ありがとう。」



俺、三木楓の日課。
そのC
目の前の高校生二人への食事指導。

「蛭池くん、テレビばっか見てないでご飯だべようよ。片付かないよ。」

「あぁ、すまねぇ。ちょっと高嶋アナが気になってな。」


「彦星、ご飯ボロボロこぼし過ぎだよ。スプーン持ってこようか?」

「ぅいー。」











楓は慣れていた。
TSUTAYA学園(蔦屋学園)にも、そして玉泉院での生活にも。


一般市民である楓が最強の不良高校、TSUTAYA学園に通うにあたって一番心配していた事態が
《パシリ・暴力》
であった。

楓はTSUTAYA学園に入学すると同時に、3年間パシリと暴力に耐え抜く誓いを建てて入学を決意したのだ。

一般人(しかも、カモ型)の自分が此処で生き残っていくには、黙ってコイツらに従っていくのが一番利口であると楓は理解していた。

そして、その決断を躊躇う程のプライドが楓にはなかった。

ただ無事にTSUTAYA学園を卒業する為なら、どんな屈辱にも耐えていく覚悟であった。



だが、意外にも楓を取り巻く環境は一向に悪くなる事はなかった。

その理由は、この玉泉院に共に暮らしている彦星と蛭池が大きく関係していた。

彦星が楓と(一方的に)大親友の契りを交した次の日。

楓は予想通り周りの不良連中からパシリの洗礼を受けた。








「おい、優等生よぉ。わりぃんだが俺らマジ腹へって死にそーだから何か買ってこいよ。」

……来たか。
しかも……優等生って。
俺、多分三年間ずっと優等生って呼ばれるんだろーなー。


楓は予想の範囲内の事態に慌てる事なく内心そんな事を思っていた。

「おぃ、優等生よぉ。なんか返事したらどぉな「何がいい?」

「あ?」

「お腹すいたんだよね?何がいい?買ってくるから。」

楓はバックから財布を取り出し、不良達に向き直った。

パシられる準備は万端だ。

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あきゅろす。
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