関係転換学各論
その5:女は狼、俺羊
(5:女は狼、俺羊)
【職場で空気を読まない女の結婚は早く、しかも玉の輿に乗る】
どっかの本で、確かそんな事が書いてあった。
理由としては、職場で空気なんか読んでいたら結婚なんて夢のまた夢。
人間関係に土足で踏み込むくらいの根性が無いと、玉の輿には乗れないから、らしい。
それを読んだ時、俺はへぇと感心しながら読んだものだ。
上白垣 栞。
お前は確かに早婚で、玉の輿に乗れそうだよ。
俺は休み時間、キャイキャイとヤツに話しかける栞を見ながら、俺はひたすらそう思った。
オイ、栞。
周りの女子の目を見ろ。
スッゲー睨まれてるぞ。
おい、聞いてんのか。
こういうのって、後から体育館裏とかに呼び出されるんじゃねーの?
女子って、恋の共同戦線を破った奴にはそういゆう集団での心理的鉄拳制裁を加えるんじゃないのか?
こないだ姉ちゃんの部屋で見た少女漫画では、女子同士のいじめは酷い感じで描いてあったぞ。
と、栞に聞こえる訳ない心の声で訴えかけて見みたが、栞は俺の事などまずもって眼中にない。
今、栞の視界にあるのは俺の中のカリスマの代名詞、池田 一のみ。
「まっさか、栞ちゃんがこうも早く身の振り方を変えてくるとはなぁ」
「善ぃ、本当に災難だったなぁ。女はマジで怖ぇよ」
「つーか。池田も、ちったー気ぃ遣えって思わねぇ!?」
「マジ、それ!善の気持ちも考えろっての!」
そう言って、まるで自分の事のように怒ってくれるクラスメイト達に俺はどう返事を返していいかわからなかった。
だから、とりあえず笑っておいた。
あの後。
俺は一応、栞と別れたのはアイツが転校してくる前だとクラスメイト達に説明したが、皆、俺を可哀想な目で見てくるだけで全く信じてくれなかった。
『善、無理すんな。男は振られてこそ大きくなるんだよ。お前のスタートはここからさ』
と、何か知らんが良い言葉っぽい事を言われた。
だから、俺は皆の中で彼女に捨てられ、あまつさえ目の前で他の男に乗り換えられた可哀想な男と言う位置付けになった。
酷い位置づけだと思う。
でも。
まぁ、別にそれならそれでもいいんだが……。
皆、その日からヤツへの反発が更に増した。
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