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関係転換学各論
その最後:*****

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俺、坂本 善とヤツ、池田 一。


これから、同じ大学を受けて、しかも実は一緒にルームシェアまでする予定なのだと言ったら、栞は何と言うだろうか。


『あんたらねぇ……』


そう、眉を寄せながら苦々しい表情を見せる栞が見れるのは間違いないと思う。

まぁ、別にいいじゃないか。
俺達は仲が良いんだ。

誰が俺らの事を仲が悪いと言い始めたのかは知らないが、これが俺と池田くんの関係の本質だ。

そう、仲が良いんだ、俺達は。
同じ大学に行きたいと思い、同じ部屋に住んで、

それこそ、ずっと一緒に居たいと思うくらい、仲がいい。

一番の友達であり、よき理解者だ。
そう、俺は思っていた。


しかし、何故だろうか。
その次の日から、俺と池田くんに新たな関係の名前が浮上する事となる。


高校生活も終盤に差し掛かってきた3年の2学期の終わり。


一つ、また勝手に始まった関係があった。


俺と池田は付き合っている。
恋人。
バカップル。


俺と池田くんは1カ月と言う短期間の間に積み重ねてきた、犬猿の仲と言う関係にあっさりと終止符を打ったのだ。

まぁ。
しかし、これも結局は周りの噂によって勝手に作り出された関係性であり、その関係の本質がお互いの中にあるのだと言う事を俺はよく理解している。

そう。本質は俺と池田の中にある。
周りは関係ない。

しかし、いつからだろうか。
周りが作った関係性と、俺達の本質が重なる瞬間が現れ始めたのは。


栞はもう何も言ってこない。
ただ、テキトーに「いいんじゃない?あんたら二人とも顔はそこそこいいし、見れなくもないわよ」と、吐き捨てるように言われた卒業式。

いつの間にか互いの手を絡ませて歩くのが当たり前になった俺達は、少しだけ、何か言いたげなクラスメイトの視線を背中に感じながら、学校を後にした。


「なぁ、一。部屋のカーテンさ。何色にしようか?」

「そうだな……。あ、今から店に行って一緒に決めようか?善」



終わりがあれば始まりがある。
しかし、いつの間に始まって、いつの間に終わったのか。
それは本質を担う本人達にすらわからない。
まぁ、分かったところでどうしようもない。



既に始まった関係は……、どうにも止められないのだから。

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