関係転換学各論
その最後:俺の**と言われている男
(9:俺の**と言われている男)
「池田くん、カリスマってどういう意味か知ってる?」
「いや、わかんねぇ」
俺と池田くんは、教室で堂々と話していた。
周りからの大量に寄越される、どこかぎこちない視線。
それらを無視して、俺と池田くんは会話を続ける。
仲良しだから。
大事な事だから、2回言おうか。
うん、俺と池田君は
仲良しになったのだ。
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あの後。
俺と池田くんは、二人して栞の家の前で無駄に話しこんでしまった。
まぁ、いろいろ。
しかも、ずっと腕を掴まれたまま。
うん……、一時間程。
余りに話し込み過ぎて、栞のお父さんが帰って来た時には、さすがの俺達もビビった。
見つかった瞬間、栞のストーカーかと疑われて、警察に連絡されそうになったのは、今思い出しても頭が痛い事この上ない。
そのくらい、俺と池田くんは時間も忘れて話し込んでいたようなのだ。
どうやら池田くんは、あの日、俺と栞が付き合っていたと言う話を聞いて、栞に「俺のせいで別れたのか?」とメールをしていたらしい。
勇者として敵を叩きのめす事に忙しかった栞は、俺のメール同様に池田くんのメールも完璧フルシカト。
無言を肯定と受け取った池田くんは、俺と栞が別れた事を自分のせいだと思い込み、慌てて栞の家まで走ってきた、と。
そう言う事らしい。
こうして、あの時の俺達の間抜けとも言える俺達の会話が成立したのだ。
『俺達、思うんだけど、けっこう仲良いんじゃないかな?』
『うん、俺もそう思う。俺達、実際は、凄く……こう、仲良いんだろうな』
そう言って、小さく笑って手を振って別れたあの帰り道。
あの日、俺の中に生まれた奇妙な感覚は、未だに俺の中に残っている。
はっきりと。
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