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関係転換学各論
その5:*****


「あー!マジあいつムカつく!」

「善!栞ちゃんを恨むなよ!怨むなら池田を恨め!悪いは全てヤツだ!」

「クラスの空気と秩序を乱す、アイツが全て悪い!」


……なんか、池田に凄く申し訳ない気がしてならない。

つーか、気を遣えって言ったって、ヤツは最近転校してきたばっかだから、俺と栞の関係を知らないだけだろうと思うのだが。

むしろ気を遣うのは栞の方じゃないのか。

でも、……やっぱ、栞、顔は可愛いからなぁ。
男は文句の対象にしないんだよな、これが。

男はバカだと思う。
もちろん、俺含め。

男は女子以上に、きっと異性の表面に流される傾向がある。
要は……可愛ければ何でも許しちゃうわけだ。

うん、俺ってほんとにバカだった。
栞をおしとやかで、優しくて、女の子らしい女子。
そう思って付き合った俺は本当に最初は栞の表面しか見ていなかったと心底思い知らされた。

栞の表と裏をまるきり見極め切れていなかった。

いや、栞の場合は裏と言うほど悪いモノじゃない。
むしろ俺にとっては良い所だった。

おしとやかで優しいのは最初のうちだけで、実は栞は誰よりもクールでサバサバしてて意外と下ネタ好きで、笑う時も大口を開けて笑う、最高に男みたいな裏の顔を持ってる女子だったのだ。

他の女子と同じなのは、男はとりあえず顔がいいとイイな!みたいなミーハー心くらいだろうか。

別れ話が終わった後なんか、栞はちゃっかり俺に夕食を奢らせて意気揚々と帰って行ったくらいだ。
かなり男に対してもクールだと思う。

別れた男に固執しない。
自分のしたいように動く。

それが栞と言う女だ。


だとすると、アイツもバカなのだろうか。

栞の顔にまんまと流されてしまっているのだろうか。

わからん。
とりあえず、今俺にわかるのはアイツがこんなにずっと一緒に居る栞に対しても、未だに愛想笑いだと言う事だ。

いい加減、栞に対しては心を開いてもいいんじゃないだろうか。
案外、栞は相手の表情や行動を見て自分の身の振り方を変える傾向にあるから、お前さへ心を開けば、栞もきっとすぐに本性を現してくれる。

なぁ、お前は何でそんなに愛想笑いばっかなんだ。


「………わかんねぇなぁ」


俺がそんな事を思いながら、小さく呟くと隣に居たクラスメイトが何を勘違いしたのか「そうだなぁ、女心はわからん」と同意してきた。

おい、お前。
ズボンの前開けっぱなしで女心を理解しようとしてもタダの変態だぞ。


俺は話しかけてきたクラスメイトの世界の扉が開いているのに気付いて、内心小さく笑ったが、教えてはやらなかった。

だって、なんとなく面白かったから。
俺はそのクラスメイトに「そうだなぁ」とニコニコ笑いながら言ってやると、そいつも無邪気に「そうだなぁ」と笑って言ってきた。

もちろん、ズボンの前は開けっぱなしで。

その後、そいつのズボンのチャック全開に気付いた他のクラスメイトからそいつは大々的に変態発表されて全員で笑う事になるのだが、この時俺は笑うのに夢中で気付いていなかった。


アイツが、栞と話しながらチラチラと俺を見ていた事を。

そして、更には栞以外の他の女子が、俺を最強に睨んでいた事を。


バカな俺は、男同士は気楽でいいなぁとか、



そんな呑気な事を思っていました。 

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あきゅろす。
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