[携帯モード] [URL送信]
sunny day

Sunny day






「うんうんわかった〜パパ楽しみにしてるぅ〜じゃ〜ね〜


猫撫で声の虎徹を横目に黙々と仕事をこなす、会話の内容からして明日何かしら娘さんと約束したらしい。


タターンと刻みよくキーボードを叩き、


「仕事中に呑気ですね。」


と、久々に毒を吐く。


「ん?何?バニィちゃん?ヤキモチ?拗ねるなよ〜?明日、お前も休みだろ?プールいこうぜ!プール♪」


「‥‥‥プールって、どこのですか?」


「シュテルン市民プール。」


あいかわらずの浅い考えにがくりと肩を落とす。


「虎徹さん。僕が誰だかわかります?」


「だれって。バーナビー.ブルックス.Jr.」


当たり前のこと聞くなよ〜と、デスクの椅子をくるくるさせながらニブチンオジサンが言う。


「はぁ〜。よ〜く考えてください。そんな公共のプールに僕が行ったらどうなります?」


「・・・・・・!!!新聞一面誌!!血みどろ!!」


「え?!何思い浮かんだんですか!!というか、市民プールって、あなたそのけしからん裸体を公衆の面前にさらすつもりですか!!」


「え・・・・・?けし・・・?」


???がたくさん浮かんでる虎徹。


「とにかく、市民プールは却下です。」


虎徹さんが、あ〜〜〜。そっか〜〜などと言い唸る。


「でも、楓と約束しちゃったし。」


あからさまにシュンとかする虎徹。ありもしない耳と尻尾がへたれるのが見える。バーナビーは本日2回目のため息をつく。


「僕はいいから、親子水入らずで行ってきたらどうですか?」


「え〜〜〜。ヤダ。」


ヤダって、アラフォーのオジサンがそんな上目遣いで言ったって、かわい‥‥‥‥カワイイです。バーナビーはクラリとする自分をごまかすように眼鏡のフレームを上げる。


「しっ仕方ないですね。」


動悸を抑えながら、バーナビーは自宅マンションの管理室に電話を入れる。


「では、明日。おねがいします。はい。はい。失礼します。」


きょとんとした顔で、なに?なに?と虎徹が後ろでそわそわしている。


「明日、僕の家に来てください。マンションのプール貨しきりましたから。」


僕の言葉を聞き、見る見るうちに虎徹さんの顔がぱぁっと明るくなる。


「さすが、バニィちゃん。すげぇなぁ!あのマンションプールもあんの!!」


楽しみだなぁ〜と上機嫌の虎徹を横目にオジサンの水着姿・・・とワクワクしていると、虎徹が水着姿楽しみだなぁ〜といきなり言うのでバーナビーは思わずギクリとしたが、「楓の」と続く言葉を聞き胸をなでおろした。自分の思考が読まれたのかと驚いたがそんなわけないかとそれぞれ思惑は異なるが虎徹とお互いの顔を見て微笑みあった。










「ばぁ〜に〜い〜ちゃ〜ん。あ〜そ〜び〜ま〜しょ〜。」


「やめてよ。お父さん。」


翌日の朝、仲良く浮き輪を抱えた鏑木親子がバーナビーの自宅の前に居た。


「朝から、近所迷惑ですよ。虎徹さん。いらっしゃい。楓ちゃん。」


ふわりと笑う、バーナビーに楓は頬を染めながらはにかむ。


「今日はお招きありがとうございます。あ、それとお父さんがいつもお世話になってます。」


ぺこりと頭を下げる楓。後ろで「よくできた子だ。」と口元を覆いながら咽び泣いている虎徹を見ながらバーナビーは乾いた笑いを漏らすしかなかった。


自室で着替え、案内されたプールサイドで鏑木親子は


「すっげぇ〜〜〜」「すご〜い」


と叫ぶ。


10レーン程ある、50メートルプールにジャグジー、南国リゾートをイメージした内装に一角にはドリンクコーナーまである。バーナビーの言うにはこのマンションに住むものは自由に利用できるらしい。本来貸しきりはしていないのだがKOHのバーナビーのため管理人が特別にはからってくれたとのことだ。
本当にすごいですねぇ〜と目をキラキラさせる楓の後ろで虎徹が娘はやらん!!といきまいている。
「ところで虎徹さん。僕の用意した水着きてくれなかったんですね・・・。」


「だって、あんなブーメランパンツ。嫌だよ。おじさんのJrがモロリしちゃいそうだし。」


あからさまに落ち込んだ様子を見せるバーナビー。虎徹はハーフパンツ風緑色の水着を身に着けている。また、バーナビーはスパッツタイプの黒に赤いラインの入ったものを着用している。


「そんな顔しても駄目です。そんなこと言うならバニィちゃんが履きなさい。」


「嫌ですよ。バーナビー・ブルックス・JrのJrが出ちゃうじゃないですか。僕のはあんなのに収まりませんよ。虎徹さんがそれはよく知ってるでしょ?」


「シャラッァアプ!!バニィちゃん!!」


それ以上は無しだ!そう言いプールに駆け込もうとする。


「よっし!泳ぐぞ!楓!!」


「お父さん!待って!体操が先よ!!」


それを制止し、準備体操を促す楓。どちらが親だかわからないなとバーナビーはクスリと笑う。
それにしても、先程から屈伸をする虎徹さんが、手足をぶらぶらする虎徹さんが前屈する虎徹さんが・・・・悩ましげで・・・・・・


「なに?バニィちゃん?重いんだけど・・・」


「ハッ!!!」


おもわず、前屈する虎徹の背に乗っかってしまっていた。


「す・・・すいませんつい・・・。」


「あはは。バーナビーさん、おもしろ〜い。」


楓の前だからいつもみたいの控えろよ。と、小声で注意される。


「あとでなVバニィ!お前もちゃんと体操してから入れよ〜。」


俺いちばぁ〜ん!と勢いよく虎徹がプールに飛び込む。


「もう!お父さんたらっ!!」


バーナビーの頭の中であとでな・・・がこだまする。どこまで子悪魔なおじさんなんだ!!
ザバリと水面から出る虎徹、髪を掻きあげてこちらを見て笑う。水も滴るなんとかとはこういうことか!!とバーナビーは眩暈を覚えた。


「早く、来いよ!楓!バニィ!!」


「はぁ〜いV虎徹さぁ〜んVv」


と、言いプールに飛び込みたい衝動を抑え、クールビューティーイケメンバーナビーと心の中で呪文のように唱える。


「行こう。バーナビーさん。」


楓の小さな手に引かれプールに飛び込む。


「きゃぁ〜Vv」


冷たい水が気持ちよく、満面の笑みで遊ぶ鏑木親子が眩しい。ばしゃばしゃと水をかけ合ったり、楓は泳ぎを披露したりして虎徹がそれにまた咽び泣いていた。バーナビーも静かにその脇を泳ぎ続ける。


「ふふふ!お前ら見ろ!俺の鮮やかなバタフライを!!」


得意げに虎徹が泳ぎを披露する。あまりにも勇ましい姿にバーナビーは虎徹さんはムードの欠片も無いな・・・と独りごちる。今に始まったことではないが予想をことごとく外す男、鏑木・T・虎徹、さすがだ。


「おい。バニィ!そんなとこで浮いてんな!勝負だ!!」


いきなり勝負を持ちかけてくる虎徹、快く承諾すると、


「負けた方が今日の昼飯奢るのな♪」


と、虎徹がいたずらっぽく笑った。こちとら、若さと体力には自信がある。負ける気はしない。
勝負の内容は潜水。どちらがより長く潜っていられるかだそうだ。


楓がよ〜い。スタートと言うと同時に二人が水中に消える。勢いよく水を蹴り一気に飛距離を図る。虎徹さんは僕の後ろを追い駆けるように泳ぐ。折り返しのターンを踏み更に虎徹さんとの距離を離そうとしたその瞬間、水中でガシリと首を捉えられいきなり唇を塞がれた。突然のことで身体が硬直する。それまで体内に留めていた空気が虎徹さんの舌使いで外に漏れる。水中にも関わらず、挑戦的な眼差しの虎徹さん。しばらく唇を堪能したかと思うとニヤリと笑いながら、トンッと身体を離されると共に水面へ身体が上昇する。


「ぷはぁ!!こっ虎徹さん!!!」


ずるいですよ!と文句を言うと、水面からぷかりと虎徹が出てくる。


「ずるくないもんねぇ〜〜。バニィちゃんが修行が足りないせいですぅ。」


わぁ〜い♪おごり♪おごり♪とばしゃばしゃ跳ねながら、お父さん勝ったぞ〜と楓を持ち上げる虎徹。子供じみたこの中年のすることが何もかも可愛く見えてしまうバーナビー、やれやれ、と溜息をつき。先程の柔らかい口付けを思い出してにやけてしまう。これも惚れた弱みかと、自分に甘えてくる虎徹を見つめながら


「まったく、先程の『あとで』は高くつきますよ。虎徹さん。」


バーナビーが楽しげに微笑んだ。





[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!