morning kiss キリリク2
「‥‥‥‥さ‥‥」
「‥‥‥さん‥‥」
「‥オジサン‥‥」
まどろみのなか名前を呼ばれ、ゆっくりと意識が浮上する。それとともに柔らかい感触‥‥
息が‥‥
「ん‥‥‥!!んうっ!!!」
出来ねぇ!!
ジタバタと暴れる虎徹をよそにバーナビーは完全に顎をホールドして、自由を奪う。絡められた舌、上あごをなぞられ浮上した意識が再び朧げる。
「ふぅ‥‥あ‥‥‥バ‥にぃ‥‥」
ぐったりとしたところで唇を解放される。
「おはようございます。オジサン。」
にこやかに口元を拭いながら挨拶をするバーナビー。
「‥‥お前、おはようございますじゃねーよ。なんなの朝から‥‥」
「なかなか、起きないオジサンがいけないんですよ。」
虎徹の咎めなど、全く意に介せずバーナビーは、お腹がすきました。と、朝食の催促をする。
マイペースなこの男と寝食を共にするようになって10ヶ月。
このように何をしても許してしまう虎徹にバーナビーは甘えてくる。
昨夜の情交のけだるさを一掃するよう、背伸びをし、ベッドから降りる。
「おい、バニィ。トーストは?」
「2枚」
「卵は?」
「スクランブル‥‥」
「はいよ。んじゃ、お前はコーヒー入れろよ。」
わかりました。と、返事の代わりにバーナビーが頬にキスをする。朝はバニィは甘えただなぁと笑みが自然とこぼれると、バーナビーがムッとして、首筋を噛んできた。
「てっ‥‥噛むなよ!あっ‥‥こら!髭がジョリジョリするっ!」
「それはオジサンも同じでしょう?」
はねた寝癖だらけのバーナビーの頭をなで、早く支度してこい。と促す。
新しく始まった朝の日常のヒトコマ、慣れつつある自分。
後ろめたさとその裏にある幸せ。背徳感て、こういうことなんだなと思いながら朝食の支度を始める。卵を焼いていると、バニィが後ろから腰に手を回してくる。自然と身体に纏わり付く腕はいつからこの身体に馴染んだのだろう、耳朶に触れる唇がこそばゆい
「こら、バニィ。卵が焦げる。」
無言のまま、抱きすくめ、微動だにしないバーナビー
「どうした?まだ眠いのか?」
問いに答えることはなく、耳朶への愛撫を続けられる。
「バニィ。」
咎めるように名を呼ぶ。
「オジサンはまたくだらない事、考えたでしょう?」
静かにつぶやかれる。感情のない声。こういう声の時はバーナビーが哀しみ傷ついているときだ。あぁ‥‥また、哀しませてしまった。
調理する手をとめ、正面からバニィと抱きしめあう。
「ごめんな‥‥」
「謝らないでください。」
惨めな気持ちになるとバニィが俯いた。
「バーナビー‥‥‥好きだ‥‥」
優しく俯いた顔を持ち上げ、触れるだけの優しいキスをする。
「僕もです。」
困ったような笑顔。瞼に唇を落とし、呪文の様に何度も名前を呼ぶ。呼んだ回数分、気持ちが伝わればいいのに‥‥
「虎徹さん。幸せになることを拒まないでください。僕は貴方の過去ごと貴方を愛したい。」
ほんの些細な自分の表情でここまで見透かされてしまうとは、改めてバニィとは戻ることの出来ない関係までになってしまったのだと、嬉しくも哀しく思う。この先、俺はまたバニィを傷付け、甘え、許しをえて心地好い惰性に身をしずめるのだ。
情けなくなる。
「バニィちゃん。俺、甲斐性ないのよ。娘にはしょっちゅう怒られるし‥‥」
「知ってます。」
「あんまり優しくすると俺、どんどんダメになる。」
「元々、ダメじゃないですか。」
「なっ!ひどっ!!」
「ダメな所も甲斐性ないところも全てひっくるめて貴方が欲しいんです。」
それに僕はオジサンと違って甲斐性はありますから‥‥と、いたずらっぽく笑った。
「可愛くねぇの‥‥」
そう言いバーナビーの鼻先をかじる。
「でも、イイ男だ。妬けるくらいな‥‥」
お返しとばかりにバーナビーも首筋を噛む。
「てっ‥‥、バニィちゃんは変わってるな〜なんでこんなオジサンがいいんだか。」
「僕、駄目な人が好きみたいです。ほっとけないというか‥‥オジサンのお節介癖が移ったんですかね?」
「‥‥‥なんか、本当に俺、お前に好かれてるか不安になってきた‥‥」
溜息をつく虎徹をキョトンとした表情のバーナビーが見つめる。
「なんでですか?さっきから僕は最上級の愛の言葉しか言ってませんが‥‥?」
「ソウデスネ。バーナビーサマ」
からかうように棒読みでいう。
互いにムッとして見つめあい、しばらくして吹きだし笑いあう。
幾度となく繰り返される、やわらかな朝の日常
願わくばこれが長くつづきますように‥‥‥
お待たせしました〜
TAKAさんこんなしがないサイトに来て下さった上にリクエストまでくださいまして恐縮です。ない知恵を絞りましてこんな感じのものができました。
いかがですかね?
甘い感じになりましたでしょうか??
ヘタレな管理人ですがよろしければ今後もよろしくお願い申しあげます
ちなみにこれはTAKAさんのみ持ち帰りOKです。
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