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※赤崎さん宅の、勝敗の行方の続編になります。





勝負の結果





最近の戦人はいつでもどこでも暇さえあれば、天草を見つめている。

飽きもせずに、じっと天草の行動を監視していた。

天草からしたら美味しい状況であるが、縁寿からしてみれば不機嫌なのが顔に出てしまうくらいの状況である。

最愛の兄がただのうざったい護衛を一生懸命、目で追っている光景はとても可愛らしいし、目の保養になるが、妹からしてみたらやはりもっと構って欲しかった。

けれど、兄の恋路(すでに実っているが)を邪魔したくないのは事実なので、縁寿は見ていることしかできないのであった。

(きっとまた天草に何か言いたいんだけど、タイミングがわからなくて見つめているんだわ。お兄ちゃん、頑張ってね)







今日も戦人は天草を見つめていた。

もちろん当主の仕事をすべて終わらせてから、だ。そこはきちんとやっているので、問題は無い筈、と戦人はソファに正座しながら天草を見ていた。

見つめることに問題があるとは一切考えないところは、遺伝なのか性格なのか……。



今日こそはなんとかしなければ。最近ずっとそのことを考えながら、天草を睨みつけている。

つい最近、恋人同士になったのだが、天草はまったくと言っていい程、戦人に手を出してこなかった。

性急にいろいろと求められても嫌だが、逆に何も無いのも不満を覚える。

手をつなぐとか、ハグをするとか、キスをするとか、やることは沢山ある筈なのに。

だから戦人は、自分から仕掛けることにしたのだ。

せっかく恋人同士になれたのだから、もっとイチャイチャしてみたい。そんな欲求が戦人を大胆にさせていた。



「…………今日も見てるんすか」

「ああ」



天草が呆れ半分、嬉しさ半分の顔でこちらに話しかけてきた。

戦人は足を床に下ろし、足を組む。動揺をさとられないようにしながら、天草を見た。



「また、暇なんですか?」

「いっひっひ!仕事も終わらせちまったしな。だから天草。構え」

「はいはい。俺でよければ」



天草は満更でもなさそうな様子で戦人が座っている反対側のソファに腰をかけた。

隣に座ってしまえばいいのに、とほんの少しの寂しさを感じてしまうのは、いけないことだろうか。



「で、何するんです?」

「あー……、んじゃ、あっち向いてほいがやりたい」

「ヒャッハ!なかなかクールな遊びですね。ルールはどうします?三回負けたら罰ゲームにします?」



天草がノってくる。この前の《しりとり》の時はしょうがないから付き合ってやるぜ、みたいな雰囲気だったのに、なんだこのテンションは。



「それでいいぜ。三回負けたら罰ゲームな」

「よーし。んじゃ旦那が負けたら明日一日俺の下僕になって下さいよ。いろんなお世話をさせてやりますから」

「は!ぜってぇしねぇからな!天草が負けたら、……とりあえず、言うことを聞け。期間は決めない。それでいいか?」

「オーケイですぜ!さっさとやりやしょう!」



天草はニヤニヤとこちらを見て、早く早く、と急かすような言葉を言っている。

きっとコイツは《あっち向いてほい》が得意なんだろうな、と戦人は推測した。それでも。

(俺は、コイツに勝たなきゃいけねぇんだ)



「じゃ、始めるぜ?」

「いつでもどうぞ」



戦人がスッと手を持ち上げ、《ぐー》の形を作った。天草も戦人と同様に構える。



「あっち向いて――」







「っしゃあ!俺の勝ちだぜ!」

「……っ!つ、強い……!」



勝負が決まるまではかなりの時間がかかった。

あいこが続いたり、なかなか指を指す方向に向いてくれなかったり、と大変だったのである。

自信満々で挑んでくるはずだ、と戦人はしみじみ思った。あれだけ強いのなら当然と言えるだろう。



「旦那!何でそんなに強いんですか!?勝つ秘訣とか教えて下さいよ!」



負けたことが余程悔しかったのだろう。天草が戦人に顔をズイッと近づけながら尋ねてきた。

戦人は言うか言わまいかを少し逡巡し、その結果、やはり言うことにした。



「秘訣っつーわけじゃねぇけどさ。俺はある条件があれば勝てるんだよ」

「……ある条件、とは?」

「…………天草と対戦する、という条件だ」

「は?どういう意味で……?」

「そのまんまの意味だぜ?天草と対戦すればほぼ勝てる」



天草は鳩が豆鉄砲を食らったような顔でこちらを見てきた。

理解できない、と顔にありありと浮かんでいる。戦人は天草のその顔に吹き出しそうになったのをギリギリで堪え、続きを話し始めた。



「俺はな、天草のだいたいの行動がわかるんだよ。あれだけ毎日見つめてりゃ、ちょっとくらいわかるようになるんだ。だから天草が向きそうな方向に指を指してって、俺が勝ったんだ。すげぇだろ?」

「…………」



誇らしげにそう話すと、満面の笑みで天草に微笑む。

天草はその笑顔で一瞬理性を失いそうになった。しかし、必死に理性を抑え、なんでもないように振る舞う。

そして、無理矢理、話題をかえたのだった。



「そういや、罰ゲームどうします?俺は何をすりゃいいんですかね?」

「……うーん、そうだな。とりあえず、触らせろ。それから沢山抱き締めて、ちゅ、ちゅーも沢山しろ!」



顔を真っ赤にしてそう叫ぶ戦人を一度見つめた後、天草は自分の理性が限界を迎えるのはもうすぐなんだろうな、と目線を明後日の方向に向けてそんなことを考えていた。

せっかく話題を変えたのにまったく意味がない。

だが、戦人が積極的に天草に命令するのは久しぶりのことだったので、かなり嬉しかった。



「「(好き過ぎるっていうのも困りものだな)」」





(勝負の結果、戦人の勝利。どちらにも美味しい罰ゲームあり)



End.





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赤崎さんに相互記念に頂きました!!

二人とも可愛すぎて私は鼻から何か出そうです!^///^

にやにやが止まらない素敵小説をありがとうございました!これからもどうぞよろしくお願いしますー!(≧ω≦)










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