君とワンダフルデイズ!
幼稚園パロ
ベアバト、縁戦、天戦の総受け
保育士…戦人、天草
園児…ベアト、縁寿
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「よーしみんなー、今日も仲良く遊ぶんだぞー?」
「「「はーい」」」


一斉に幼い声で返事をすると、きゃあきゃあと騒ぎながら散っていく。今日もみんな元気だ。様子のおかしい子などはいないかと視線を巡らせていると、くっとエプロンの裾を引かれた。


「おにいちゃん」
「おっ、縁寿、どうした?」


裾を引っ張っていたのは、妹でもある縁寿だった。膝を地面につき、目線を合わせた。
すっと、目の前に本が差し出される。


「これ、よんでほしいの」
「おう、いいぜ。縁寿は本が好きだなー」
「おにいちゃんによんでもらうのがすきなの」
「嬉しいこと言ってくれるじゃねえかぁ」


よしよしと、俺と同じ赤い頭を撫でる。その場に腰を下ろし、絵本を開いた。縁寿は隣に座り、ぴったりと身を寄せて本を覗き込んでいる。


「じゃ、読むぞ…」
「ぐっもーにん、ばとらぁああああああ!!!」
「ぐぇっ」


ハイテンションな叫び声が聞こえたかと思えば、背中に衝撃。相手は幼児とはいえ、全力でぶつかられると流石に痛い。


「ふはは、せなかががらあきだぞ、ばとらぁ!」
「いって…こら、ベアト!いきなり体当たりすんなっていつも言ってるだろ!あと先生って呼べ!」
「ばとらをばとらとよんでなにがわるいのだー」


きらきらと光る金髪、青い大きな目。黙っていれば非常に可愛らしい子なのだが、如何せん問題児だ、中身が。
ベアトは縁寿の反対側、俺の隣にぺたりと座る。反省の色なし。…いつものことだが。


「なにをしておる?」
「おにいちゃんにほんをよんでもらってるのよ。あんたほんなんてよまないでしょ、あっちいってなさい」
「なぜそなたのさしずをうけなければならぬ。わらわもばとらとあそびたいぞ」
「ふざけないで。あとからしゃしゃりでてきたくせにかってなこといわないでくれる?」
「お、おーい…二人とも…?」


俺を挟み、睨み合う縁寿とベアトの間にばちばちと稲妻が見える、気がする。まずい。この二人は犬猿の仲なのだ。


「ばとらはわらわとままごとをするのだ。はだかにしてくびわをつけてかぐになってもらう」
「おいベアト、それはしねぇぞ流石に…」
「おにいちゃんにそんなことゆるさないわ。ほんをよんでもらうの」
「なあ…二人とも、仲良くしようぜ…?」


そう言ってみても、反応はなし。俺の言葉は二人には完全に届いていないようだ。
このままでは、本当にまずい。ベアトは見ての通りだし、縁寿もこういう時はいつものように聞き分けてくれない。また大騒ぎになってしまう。
自分が止めなくてはと、意を決して口を開き、


「ふ、二人ともいい加減に…!」
「はーい、そこまでにしましょうねー」


頭上から降ってきた声に、え?と俺は声を上げた。顔を上げようとした途端、後ろからぎゅうと抱きしめられ、言葉を失った。ぞわっと悪寒が走る。


「な…きさまぁああ!!わらわのばとらにふれるな、はなれぬか!」
「そっ、そうよ、はなれなさいよ!けだもの!」


あ、こういう時には結託するんだな、こいつら。
…じゃなくて!


「……何してるんですか、天草先生」
「スキンシップです。お気になさらず」
「男に抱きしめられてスルーできるかぁああッ!」


腕を振り解き、素早くその場から飛び退く。残念そうな表情を浮かべた、さっきまで俺に抱きついていた変態…もとい、天草先生を睨み付ける。


「セクハラはいい加減にしてください!子供が悪影響受けるでしょう!」
「セクハラたぁ心外ですね。スキンシップ、つまりコミュニケーションです」
「ひっ?!く、くく首に息を吹き掛けるなぁ!」
「つれないですねー」


首どころか耳にも息を吹き込まれて、腰から力が抜けて俺はその場にへたりと座り込んだ。背中に鳥肌が立つのを感じる。
ねっとりと絡みつくような視線をやられて、ぞわぞわと鳥肌が全身に広がった。気持ち悪いと心底思う…子供たちの前でなければ感情に任せて殴っているところだ。


「…おっと」


座り込んだままの俺の前に、縁寿とベアトが庇う様に立った。大の男としてどうかと思うが、小さな背中が信じられないくらい頼もしく見えた。


「そこまでよ、へんたい」
「これいじょうばとらにさわらせはせぬ!」
「お前ら……、いい子だベアト、縁寿…!大好きだぜ!」
「え、何ですかこの展開…もしかして俺が悪役ですか」


そりゃそうだ。

変態は無視して、ベアトと縁寿を両手でぎゅっと抱きしめる。多少問題はあるがやっぱり根は優しい子たちなのだ。どうかあんな歪んだ大人にはならないでくれ。心の中でそっと祈った。
嬉しそうににこにこ笑いながら、ベアトと縁寿が抱き締め返してくる。


「ばとらー!わらわもだいすきだ!」
「わたしも。…このおんなといっしょなのはきにくわないけど、おにいちゃんのだっこにめんじてよしとするわ」
「戦人せんせーい、俺にはハグはないんですかー?」
「ない」
「…即答ですか…」





何だかんだで園内は、今日も平和だったりする。












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