main_10|02|27 穏やかに緩やかに。どうか止まるな。(天戦)
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なんだこの状況。
生殺しだ。残酷すぎる。誰か助けて。…ああでも、この状態は他の誰かに見られるのは非常にマズイ。
だってこの体勢では、どう見ても坊が俺を押し倒してるように見えてしまうのだ。
「…おーい。坊ー、起きてくださいよ、風邪引きますよって…」
呼びかけるが反応なし。俺の胸に顔を埋めてぐうぐう眠ってらっしゃる。
何故か知らないが、アルコールが入って酔っ払い状態の彼が絡んできて、それをあやしていたらふとした拍子にこの体勢になって。挙句そのまま坊ときたら寝ちまいやがった。とんだ酔っ払いだ。
…ていうか未成年がなんでこんなべろべろに酔っ払ってるんだ。
「…はぁ…どうしろってんだ…」
何で酔っ払ってるかどうかはこの際どうでもいい。問題はこれからどうするか。
いや、彼を起こしてベッドまで連れて行ってやればいいだけなのだが、俺の上で穏やかな寝息を立てている坊を見ると…起こすのはどうも忍びない。
それに、こんなオイシイ状況なのだ。もう少しこのままでいいや、なんて思ってしまう。
(…でも風邪ひかれても困るしなぁ)
あとこの状態をここの一家に見つかるのも困る。彼の父親に見つかればクビなんてことになりかねないだろうし、彼を溺愛する妹君に見つかるのも出来れば避けたい。クビとかどうこう以前に命の心配をしなくてはならないだろう。
「……どうしたもんかねぇ」
非常に困った状況だが、同時にやはり喜ばしい状況で、ついつい顔が緩む。無意識なのだろうが、すり、と頬を寄せてくるのが可愛らしい。
「ほんと、もう…襲っちゃいますよー…」
赤い頭をよしよしと撫でてやる。それでも坊が起きる気配はまったくない。
(もう、いいか、このまんまで)
穏やかに緩やかに。どうか止まるな。
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