main_10|12|23 純粋に、貴方に、不純に、(天戦)
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細く長く、形のいい男の指が、胸の尖りを飽きもせず撫でる。そこからじわじわと、快感が広がっていく。
けれど十分なものではない。気持ちは良いが、決定的な刺激ではない。
(この程度で、どう達しろというのか)


長時間、そこばかりに続けられた愛撫で、どうにかなってしまいそうだった。身体がだるい。くらくらとした。
甘ったるい声を吐き出すことすら億劫なくらいなのに、それでも刺激に一々反応して喘ぐ自分が、何だか滑稽だ。同時に、少しだけ恥ずかしい。
身体がくたくたで辛いのに、それでも喘いで身を捩る事を止められない。まるで、娼婦のようだ。


「…ん、んっ…天草、まだ……?」
「まだって、何がですか?」


親指と人差し指で尖りを摘みながら、天草は意地の悪い笑みを浮かべた。
(…、むかつく…)
分かっている癖に。まだ焦らすつもりか。


「っ…し、下、も」
「下も…?」
「………触って、くれよッ…!」


服の上からでもはっきりと分る程に反応している自身を、見せ付けるように。或いは誘うように、戦人は腰を揺らした。
天草の足に擦り付けようとすれば、するりと避けられてしまう。泣きそうなになりながら見つめてみたが、返ってきたのは相変わらずの、人の悪そうな微笑だけだった。


「なん、で」
「駄目ですよ。まだ」
「ふ、ぅ…っもう、無理だ…!…がまんできない、から、触って…」
「胸だけでイけたら、好きなだけ触ってあげますよ」


…それができれば、苦労しない。
女のようにそこを弄られるのは確かに気持ち良いが、やはり達するには弱すぎる。中途半端に体の熱を高めていくばかりで、何の足しにもならない。
早く触って欲しい。窮屈な服を剥ぎ取られて、触られて、熱いものに貫かれて達したい。下半身がひたすらに疼く。何度触ってくれと強請っても、天草には一向にその気配はなかった。
代わりにわざとらしく溜息をついて、頬を伝う戦人の涙を舌で拭い取った。


「……世話が焼けますねえ…」
「っう…?……っひ、っぁあ!」


天草は戦人の胸に顔を寄せ、そこを口に含み、歯で挟んだ。勿論本気で噛んではいないが、甘噛みというには少し強めの力で、強弱を付けて刺激を与えてくる。

強くなった快感と、走る痛みに、声が自然と大きくなる。身体がびくりと震えるのを繰り返し、感じる熱が増していく。

同時に反対側に爪を立てられ、耐え切れずに悲鳴が上がった。


「ひ、ぃ、っあ、あ、い、く、もう――!」


胸を這う天草の舌の生温さを感じながら、戦人は限界を迎えた。身につけたままだった下衣がじわりと湿る。足がぴんと伸び、それから痙攣する様に震えた。


「―――なんだ。イけるじゃないですか。胸でも」
「…っふ、ん……は、なあ。いけた、から…触ってくれるんだろ?」
「ええ、勿論触ってあげますよ。…けどそれだけじゃないでしょう?俺にどうされたいですか」


天草の口元が、にやりと弧を描く。欲を覘かせる隻眼に、ぞくぞくとした。
天草の首に腕を絡め、顔を寄せる。我慢できずに再びその足に擦り付けるべく腰も寄せる。今度は、避けられなかった。


「、っん、あまくさ…」


何が、欲しいのか。

それを伝える為に、戦人は天草の耳元に唇を近付け、吐息混じりに強請った。




純粋に、貴方に、不純に、






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