main_10|09|11 ベネンシアドウル(天戦)

20000hit御礼小説。
「戦人が酔っ払って天草にデレ甘の誘い受け」


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自分でも解る程に、吐息が甘ったるく酒臭い。
頭がぼんやりとして、身体が熱い。風邪をひいた時の様だと、上手く回らない脳で戦人は思った。ふわふわする。
自分は今、酒に酔っている。気持ちの良い酔いだ。気分が上昇する様なものではなく、まどろみの様な心地よさを伴っている。


「こら」


もう少し、とグラスに手を伸ばしたが、指が触れるより前に天草がグラスを持ち上げてしまった。行き先の無くなった手を引っ込めて、隣に座る天草を見る。


「流石に飲み過ぎですよ。これ以上は駄目です」


珍しく咎める声音で言って、グラスに残っていた酒を煽る。グラスはあっという間に空になって、再び机の上に置かれた。


「あまくさ…」
「もう駄目ですよ。酒も無くなった事だし、水でも飲んで、」


もう寝ましょう、とでも、言おうとしたのだろうか。戦人の唇に塞がれた所為で、天草が続きを声にすることは無かった。至近距離で、片方だけの切れ長の眼が驚きに僅か見開かれる。
天草の口の中に舌を差し入れると、自分が漂わせているのと同じ香と、求めていた味が広がった。甘くて、蕩けてしまいそうだ。


「んっ、ふ」


鼻に掛かったような甘ったるい声が漏れた。意図せず出たそれを聞いて、戦人は自分が興奮している事を知った。天草の舌が絡んで水音を立てる。

いつの間にか腰に回っていた天草の大きな掌が、シャツの裾から内側に入り込んで、素肌を無遠慮に撫でていた。やがてそれは服の下から抜け出して、今度はズボンの上から臀部の形をなぞり始める。
いつもなら変態、と罵倒する所なのだが、そんな気にはならなかった。むしろ気持ちが良い。
もっと触って欲しい、もっと、もっと。

愛していると、囁かれたい。


「あま、くさ、」


唇を離して、名前を呼ぶ。戦人は天草の身体に、自分の腰を擦り寄せる。その動きに応えるように、尻を撫でていた手が戦人の身体をさらに抱き寄せ、密着させた。
触れ合う箇所から、熱を増していく。




ベネンシアドウル
(甘ったるいのを造って)






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