main_10|08|19 恋慕(天戦)
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留←戦前提の天戦です
天草が片想い

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彼の、望むままに。
愛撫を施して、奥へ奥へと入り込む。
愛し合う恋人達の様に手を繋いで指を絡ませ、絶えず声を上げる口を己の口唇で塞いた。舌を滑り込ませれば、戦人の舌が絡みついてくる。その間にも、腰を動かす事は忘れない。


「あっ、や、ぁ、っん、ああ、あ」


猫が啼く様な甘い声に、まるで求められているような錯覚をしそうになる。

彼の目が見てるのは、俺じゃないのに。


父親が、好きなのだと。彼に告白されたのはいつだったろう。涙を流しながら、震える声で、父親が別の女を愛すのが辛いと、そう言った彼の目が嫉妬で濁っていたのを覚えている。
(なら慰めて差し上げましょう。俺の事は、…親父さんだとでも、思ってください)

そうすれば。身体を重ね、献身的に想いを寄せれば。彼の心が少しでも自分に向くのではないかと、思ったのだ。だがそれは無かった。どれだけ優しくしても酷くしても、愛しても愛しても、…いつまで経っても、彼が見ているのは父親だけ。




羨ましい事だ。




こんなに傍にいて、こんなにあんたに一途で、…あんたの為に生きている俺には、何の愛情も向けてはくれないのに。
あんな最低な男を?その上自分の、血の繋がった、父親を?俺より、そっちの方が良いって言うのか。そんなの辛いだけだろうに。
俺ならあんたを悲しませないし寂しい思いもさせないし、誓ってあんたを手放さない。なあ、だから


俺に、してくれよ。





「ぅ、ぁ、ああぁッ!!」
「…っ、く…」


彼が果てると同時に、自分も彼の中で達した。後始末は面倒なのだが、この中で出した方が彼が喜ぶのだ。
(この腹に子供でも出来るってんなら、良かったのに)無理矢理にでも自分の物に出来たのに。

慰めるために彼を抱くようになった初めの頃は、ただ彼と身体を繋げられる事だけで満足していた。その満足感は、もう得られない。彼の目が、自分に向かない事を知ってしまったからだ。
だから湧き起こるのは空しさだけ。

掴めない事を知っているのに、それでも尚月に手を伸ばし続けることは…愚かだろうか。
俺にはもう分からない。



恋慕





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